秋空を飛べ  高橋 禮子

yjimagetkh48pys

秋空を飛べ

         高橋 禮子
 
 出さねばと思う便りがあるもんでついに書きたる君への便り

 近寄るを感知されたか背の低き南天の枝にとかげの静止

 私にまとわるつきたる一匹の蚊ありひいひい世をすねており

 池袋二十五階の窓に見た月夜のビル群赤い点滅

 実らざる恋はこうして土深く埋めておこうマンゴーの種

 大変なことをしてると思わずにやってしまうか事件というもの

 十二時を待たずに寝れば目覚ましの支配は受けない六時の起床

 バスタブにぷかり顔出す歌のあり何はともあれメモ残すべし