月別アーカイブ: 2017年8月

新蓮歌ー20

名残表

1、飾られし陶(すえ)の器はお庭焼    紅舟

2、 野に時雨ふる装ひもよし       宜博

3、博くかつ厚く盛りたる築地果て     安岡

4、 もれ釆る笛の調べゆかしき      紅舟

5、被(かづ)きをる絹の覆ひのかろやかに 安親

6, 浜の足跡踏むものどけく       宜博

7、咲きたけてひねもすふぶく花の波    紅舟

8、 濃く糸遊のたちこめて舘       安親


新蓮歌ー19

初裏

1、季(とき)ごとに力そなはるものにして 安親

2、 しけ(糸)つむぐ指のたしかさ    紅舟

3、納所なるかの下し文たまへかし     宜博

4、 川を隔てて恋しさまさる       安親

5、吊橋を渡る手古奈の心ばせ       紅舟

6、 つけば霞むか入相の鐘        宜博

7、求め来し花のきはみの魂ならん     安親

8、 捧げまゐらす蓬葉の餅        紅舟

9.手づからに習ふに難き歌の道      宜博

10、 遠き筑波嶺仰ぐ露原         安親

11、立つ鴫の沢辺をめぐり来たりけり    紅舟

12、 朝な夕なに月おもふころ       宜博

13、いふを得ぬ険しき一代つきんとし    安親
きぬ
14、 萎えたる衣に深き安らぎ       紅舟


新蓮歌ー18

名残表

1、風鈴の音は不倫とひゞくらし 宜博

2  川瀬涼しきよき本居にて安親

3、草茂る庭にまろノびて遊ぶ犬

4、 ながの患ひやうやう癒えし       宜博

5、天地の恵ゆたかに享けにけん       安親

6、 きせるをふかし憩ふひととき      紅舟

7、雲そひし百(もも)の階(きだはし)登りきり 宜博

8、 建ち直りたる城(くすく)さはやか   安親

9、秋風に今は鎮もるおよし塚        紅舟

10、 宗祇が澄みし水たむけせん       宜博

11、街の角いづこも流れ淀まざる       安親

12、 さらりと文を進む筆先         紅舟

13、薄衣かへる道には月よばふ        宜博

14、.新墾(にひばり)の土薫りたつなり   安親

 


新蓮歌ー17

初表

1、言霊(ことたま)の幸ほふ里に立つや秋   宜博

2、 ひときは高きまつ虫の声        柏全

3、とぢこめし霧たちまちにはれゆきて    安親

4、 なびきあひたる真緒(まそお)のすすき 紅舟

5、山裾を巡る道の辺見えかくれ       宜博

6、 はたての海に雪降りそめむ       安親

7、凍て窓の帳(とばり)の奥の月淡し    紅舟

8、 ほのかに香る竹の透垣(すいがき)   宜博