月別アーカイブ: 2017年10月

新蓮歌ー29

名残裏

1、鳴きそむる調べたのしや虫の声     清

2、 わか住む里を雲京といふ       紅舟

3、流れゆく川渡やさし窓の下       清

4、 岸に添ひゆく魚釣りの舟       紅舟

5、生ひしげる木蔭に集ふ子供たち     清

春、 ひと日うらうら書(ふみ)を読みつぐ 紅舟

7、夕ぐれのしじまに旬ふ花の色      紅舟

揚句、 なにごともなき雪柳かな       清


新蓮歌ー28


名残表

1、みづみづと土筆生ひたる縄手道  紅舟

2、 はるかなるかな沖を見る浜   清

3、乱れては又並び飛ぶ鳥の群    紅舟

4、 習ひし歌を児ら口ずさむ    清

5、紙芝居竹馬遊び今もなほ     紅舟

6、 大和言葉の力頼もし      清

7、時じくの雪を仰ぐや富士の嶺   紅舟

8、 負けしいくさのあとのむなしさ 清

9、綱取りの土俵清める箒跡     紅舟

10、 太鼓の音もつねに似ぬ音    清

11、豊かなみのりを祝ふ村祭り    紅舟

12、 よもすがらとて女藁綯う    清

13、白絹にさやけき月の影宿る    紅舟

14、 共に語りし庭の萩さく     清


新連歌ー27


三裏

1、いとまなき人の世しばし離れ釆て   清

2、 書き送る文唐松の蔭        紅舟

3、湖に出でて動かぬ小舟あり      清

4、 水底に鐘しずめりという      紅舟

5、けはしさをつのらせ速き野分雲    清

6、 身も末枯るる行方悲しき      紅舟

7、いとせめて今宵の月は澄めよかし   清

8、 まれなる酒にたれ招くらん     紅舟

9、皆人の得がたき越の寒き梅      清

10、 布も雪野にさらす手織りぞ     紅舟

11、伝へ来し技を尊ぶ時にして      清

12、 設へこらす春の催し        紅舟

13、橋を行く老も若きも花語り      清

14、 待ちし政(まつり)のうららかな空 紅舟


新蓮歌ー26

  三表

1、畔道をたどれば篁雛(しょうこうひな)の家 紅舟

2、 主の翁齢知られず         清

3、よそ目にはひとり打つ碁と見えながら 紅舟

4、 戦の前の灯のもと         清

5、更くるままめぐる盃重なりて     紅舟

6、 いつしかしらむ東の空       清

7、明星へ竃の煙たちのぼる       紅舟

8、 民ありてこそ国忘るるな      清

9、山川も草木も土も忘るるな      紅舟

10. 目高の学校ふるさとになし     清

11、なつかしや広場にボール蹴る子たち  紅舟

12、 変はることなき夕映えの峰     清

13、粉雪降るまにまに見ゆる月淡し    紅舟

14、 出湯よろしき白骨の郷       清