古都を楽しんできました。

東寺と国宝五重塔

宗像 信子

 真言宗総本山の東寺(とうじ)は京都に着くと、一番最初に目に入る国宝五重塔を有するお寺です。
「あー京都に  来たんだ」という気持ちにさせてくれます。
世界遺産登録されている東寺は、唯一残る平安京の遺構で、創建は天長2年(825)です。
公式ホームページによると、創建からおよそ1200年、長い歴史を経て、平成6年(1994年)に世界遺産として登録されました。
東寺は平安遷都とともに建立された官寺(かんじ)、つまり国立の寺院です。その寺院を桓武天皇のあとに即位した嵯峨天皇は、唐で新しい仏教、密教を学んで帰国した弘法大師空海に託しました。
ここに、日本ではじめての密教寺院が誕生します。
東寺を託された弘法大師空海は、密教の主尊(しゅそん)である大日如来を境内の中心に据え、広大な寺域に曼荼羅(まんだら)を表現しようとしたのかもしれません。
造営にあたって、弘法大師空海は、御影堂(みえいどう)の場所に住房を構えました。
御影堂では、いまも毎日、弘法大師空海がいらしたときと同じように、一の膳、二の膳、お茶をお出ししています。
パンフレットには「東寺に来られたら、まず御影堂にお参りください。次にお堂に上がり、ひととき弘法大師空海とお話しください」書かれています。
国宝の金堂は文明18年(1486)に焼失し、今のお堂は慶長8年に竣工、重要文化財の薬師如来と日光・月光菩薩が安置されています。
重文の講堂は延徳3年(1491)に再興された建物で、国宝や重文の21体の仏像が安置されています。このように、どこを観ても国宝、重文だらけで身が引き締まる思いでした。
ここで、私が体験した笑い話をひとつ・・・ここには食堂(じきどう)という建物があります。私が約30年ほど前に初めて東寺を訪れたときに、この食堂をレストランだと思い、思わず同行者に「このお寺にはレストランがあるのね」と言って、大いに笑われました。今でもその同行者はこのことを覚えていて、ことあるごとに笑い話として言われます。この食堂は現在、資料館のような役割をしています。

最後に、写真の国宝五重塔ですが、高さ55メートル、4度の消失と再建を経て、現在は五代目だそうです。ただ消失しても必ず同じ大きさで建て直したそうです。それは五重塔に限らず東寺の全敷地は創建当時と変わらないということです。
京都のお寺ではありますが、華やかさはなく、心が安らいで落ち着いてくるお寺でした。
京都にお立ち寄りの節はぜひ、お参りして下さいませ。