詩人の夢の別荘を実現! 別所沼公園「ヒアシンスハウス」

 宗像 信子
(開運道芸術部顧問、咸臨丸子孫の会幹事)

詩人の夢の別荘を実現!
別所沼公園「ヒアシンスハウス」

浦和と西浦和の中間に、ランナーや釣り人、子連れファミリーや愛犬家など、世代を問わずみんなから愛されている別所沼公園があります。
敷地の約半分を占める別所沼を中心に、メタセコイヤの巨木が立ち並ぶ緑溢れる癒しスポットです。春は桜もきれいです。
今日はもう冬景色でした。
そんな別所沼公園の西側にあるのが「別荘 ヒアシンスハウス」です。
階段を三段上がり、玄関の取っ手を押すと、目の前に明るい日差しの降り注ぐ大きな窓がパッと飛び込んできます。
窓の向こうに広がるのは別所沼です。
左側に目を移すと書斎スペース、そして西側奥には小さなベッドとその上に小さな出窓があります。
室内は、すっきりとして無駄がなく、キッチンすらないので、住居というよりはちょっとした秘密基地みたいです。
ここは若き青年・詩人であり、建築家であった、「立原道造」が自分で自分のためだけの週末用住宅として設計した建物でした。
建築家であり詩人でもあった彼は、23歳の若さでこの世を去ったため、このヒアシンスハウス(風信子荘)と名付けられた別荘は構想のままで終わっていました。
本来なら幻で終わるはずだったヒアシンスハウスは、時を経て、彼や彼の作品を愛する地元の建築家や文芸家などの呼びかけにより引継がれ、2004年ついに完成したそうです。
ヒアシンスハウス内は、立原道造やヒアシンスハウスに関する資料が展示されていて、建築や文芸に触れることのできるちょっぴりアカデミックな雰囲気です。
訪れた人たちが自由に感想を残せるノートをめくると、遠くから訪れたご年配のファンの書き込みや、子どもの「カワイイおうちだね」という絵や感想がありました。
部屋をじっくり見てみると、彼の夢やこだわりがあちらこちらに散りばめられたモダンな作りです。
継承事業を行った方々は立原道造の残した手紙やスケッチをもとに議論を重ねて作図したそうです。
ヒアシンスハウスは小さいけれど、立原道造の夢とそれを支える人々の思いが詰まった、すがすがしく温かく、そしていつまでもたたずんでいたくなるような、そんなステキな場所です。
ボランティアのガイドの方々が皆さまのお越しをお待ちいたしております。
開館日 水曜・土曜・日曜