今泉みねの「名ごりの夢-蘭医桂川家に生まれて-」

 

 


宗像 信子

(開運道芸術部門顧問、咸臨丸子孫の会幹事)

今泉みねの「名ごりの夢-蘭医桂川家に生まれて-」

相変らずのコロナ禍でほとんど出かけることがありません。
家とプールとスーパーの往復ばかりです。
11月に幕末史研究会で安藤優一郎先生に講演していただくことになりました。
安藤先生のご著書を頂いていたことを思いだして、探しまくりようやく見つけ出しました。
「将軍家御典医の娘が語る江戸の面影」というご本です。
この将軍家御典医の娘が「今泉みね」です。
私の祖先の木村摂津守の姉「くに」の次女ということで、少し関わりがあるので昔から我が家には「名ごりの夢」<昭和15年発行>の古い本がございました。
江戸の面影をそれこそ上流幕臣のお姫さまが思い出し、思いだし話したことを何年もかけてご子息が聞き出し、お嫁さんが筆記して出来上がった最初は私家版で出版された本でした。
しかしとても評判が良くて昭和38年平凡社が東洋文庫で出版し、私の手元にある本はもう2005年で27刷です。
「今泉みね」さんは1855年(安政2年)に築地で生まれて、1937年(昭和12年)に83歳で亡くなられました。
父親の桂川甫周は江戸城で唯一の蘭方医でしたので、本当に幕臣の中でも権威のある地位でした。
前半は優雅なお姫様の生活でした。桂川家は蘭学を志す人達のサロンで知識人が集まるところでした。
一番有名なのは福沢諭吉です。
おんぶをしてもらって諭吉の自宅まで行ったと思い出していらっしゃいます。
後半は徳川幕府が滅亡後の苦労が書かれています。
安藤先生はその内容を説明しながらわかりやすく解説してくれています。
久しぶりに読んでいる私も優雅な気持ちになりました。