近藤勇の嫁選び


 いよいよ小、中、高校など学生にとって新学期の季節ですね。
 学生だけでなく、駅や街に就職でも初々しいリクルートスーツの男女が目立ちます。
 桜の花びらが風に舞う季節の入学式や入社式は、一生の思い出として忘れがたいものがある、と思います。
 と、憶測で言ったのは、残念ながら夜学と零細企業を転々とした私には桜と入学入社の記憶が重なっていないからだと思います。 それでも、桜の散り際を何時間でも飽きずに眺めていられる愚頓な感性が残されているだけでも感謝しないといけません。それだけでも嬉しいことです。
 これから新撰組を書くとき、土方歳三の死を桜の花の散り際のように美しく書けるのか? その逆になりそうな気もしますが、こればかりは書き始めてみないと分かりません。書き手の心が微妙に変化するからです。
 ところで、また新人の入社の話題に戻ります。
 若い頃の私は講演などでよく「男と女」という言葉を使いました。
 昔は、男女平等などという言葉もありました。
 ところが、いまどき男女平等などというと若い女性からは男性救済のことかと思われて軽蔑されます。
 最近の就職試験では、学力と語学だけの成績ですと圧倒的に女性のレベルが男性を上回り、男女平等にすると新入社員は女性ばかりになってしまいます。だから、最初から男女それぞれの採用人員を決めておく必要があると聞いたことがあります。
 と、いうことで、私の表現も「男と女」から「女と男」と変わってきたのです。
「女と男」のものがたりは、人類が生存する限りは永遠に続く無限不滅のテーマです。
 ですから、私は「女と男」の愛情ものがたりを書き続けるのです。
 女も男も適齢期になれば、当然のように恋をし結婚を考える・・・これが常識です。
 ところが、最近は結婚を考えない草食系という種族の男が生息しているらしく、結婚戦線に異常な変化が起こっています。
 女性は、結婚に夢をふくらませて素敵な男性の出現を待ちますが、男が消去的ですから、待つ側から攻める側に変わりました。
 しかし、女性があの手この手で、意中の男性を結婚地獄に追い込もうとしますが、遊びでだけの付き合いで結婚を望まない男は逃げるばかりです。
 私が銀座で結婚相談所を開いていた頃は、一回の見合いで結婚を決めた男女もいましたが、それは男が一目ぼれで夢中で口説いたからこそ、女性もその気になったのです。これには私も感動しました。私にそこまでの熱意があれば・・・残念です。
 未婚の女性は結婚に憧れ男性の選択に迷い、既婚女性は自分の結婚が良かったのか悪かったのかを気にし続けます。
 自分で結婚相手が見つからない場合は、お見合いという手もあります。
 熱烈な恋愛を知らない女性であれば見合い結婚でも何とか円満な家庭を維持できますが、熱愛を経験している女性の場合は見合い結婚で愛のない生活を続けていても我慢ができなくなります。結婚生活に飽いた頃に好きな人が出来たりすると、浮気心を抑えることが難しくなり、つい間違いを起こしてしまい、そこからずるずると道ならぬ恋に走ってしまうこともあり得ます。
 ですから、熱い恋を経験している女性は見合い結婚には不向きということになります。
 結婚相談所を経営していた頃の実例では、美人が結婚相談所に駆け込んで結婚を焦るときは、熱烈な恋愛の末、男に裏切られた時などがあり、経済的に余裕のあり社会的に認められた高学歴の男と結婚をして相手を見返してやろうというケースが多かったものです。それで、結婚して幸せかどうかより、結婚式を挙げることに目的があるのですから仕方ありません。
 それも人生、これも人生・・・それでも、幸せな結婚のための確率の高い方法はあるものです。
 江戸市ケ谷柳町に剣道場を開いていた近藤勇は、数ある縁談の中で一番器量の悪くて丈夫なツネという女を選んで嫁にしています。
 近藤勇の言い分は、醜女を娶れば道場に来る若い弟子も気が散らず、自分も家を任せて安心だから、というのです。
 そのくせ、京都で新撰組局長として名を馳せてかは、島原の花街で1、2と謳われた名妓の美雪太夫という絶世の美女を妾にしていたのですから、一言も不平不満を言わずに留守宅を守っていたおツネさんが哀れとしか思えません。
 男と女の結びつきは千差万別、つい昨日までのアカの他人が、心身ともに結ばれて一生離れ難くなったりします。
 その反対に、熱烈な恋愛で一緒に成るはずの二人が、事情があって別離の悲しみを味わって泣き暮らす場合もあります。
 別れた二人が、劇的な再会をして結ばれる例もあるように、人生は無限のドラマに包まれています。
 それでも、その出会いに至る過程を大別すると見合い型、恋愛型、見合い恋愛型になるでしょうし、さらにそこから派生したさまざまな形態が類型化されるでしょうし、それぞれの道にはそれぞれの岐路があり、その出発点からその将来を予測することも可能です。
 この「女と男」、これからも週2,3回のペースで載せますので、参考にしてください。