女性のための開運講座-56&新撰組


 
 「兵隊やくざ」という映画で勝新太郎演じる暴れ
者兵隊のモデルだった元やくざの親分のY氏は、白
髪頭を短く刈って角帯をきちっと巻いた着流し姿で、
いつも笑顔を絶やしません。
 初老で小柄、誰が見ても満州で敵味方を震え上が
らせた兵隊やくざには見えません。その上に、実に
気風(きっぷ)がいいのです。
「そうかい、この絵が気に入ったって? じゃあ、
上げるから持ってっていいよ」
 こんな感じです。
 で、日展系の中村勝美画伯と知り合ったのです。
 これが良かったのか、悪かったのか?
 中村画伯は、高校の美術教師をしていましたが、
故郷の先輩が画家として成功しているのに憧れて、
その門下に参加して日展では何度か入賞もしていま
す。でも、絵が売れないのです。
 この中村画伯の絵は、私の未刊の小説「北の恋歌」
にも登場します。
 -------------
  氷川小学校の建物が右手に見え、左手に衆議院議
員宿舎と矢印のある小看板が目につく。
 その路地を左に折れると十メートルほど先に、小
さな喫茶店があり、店名の「紫夢」という字がステ
ンドグラス基調の円型ドア上部に、あざやかな赤味
の濃い紫で浮き彫りになっていてよく目立つ。
「先生から、少々お待ちください、との伝言です」
 店内の壁面には、サムホールと八号ぐらいまでの
小ぶりの油絵が十点ほど飾ってある。
 モチーフの暗さと裏腹に色彩は明るい。頼りなげ
に浮かぶあかね雲の下、夕映えの海景色がある。突
起した岩をめぐって砕け散る白波、その荒磯の岩か
げに古びた漁船が横たわっている。帆柱が折れへさ
きも欠け、塗装はとうに剥げ落ち老惨の姿をさらし
ていた。しかも、その画面いっぱいに、菖蒲の群落
があり白と黄の花が鮮やかに咲き乱れていた。この
絵には、希望と絶望が入り乱れて錯綜している。
 いずれも藤井の好きなN画伯の絵だ。
 藤井は、奥の部屋に入らずに、間仕切り替わりに
置いてある大水槽の前に立って熱帯魚の群れ泳ぐの
をしばらく眺めた。初めて和歌子と二年前にここで
会った日。あの遅い午後もここで立ち止まって熱帯
魚を眺めていた。あのときは、所在なげに背後に立
つ若葉の不安げな顔が、水槽のガラスの向こうから
現れて、雨に濡れた長い髪が水草に重なってゆらゆ
らと揺れて見えた。あれからの若葉は、逃れられな
い運命の中で、芸能界という水槽の中で必死でもが
き泳いで来た。
 ---------------
 ここに登場する藤井という人物は実在の友人です。
 本名は藤村知弘・・・三重県津市の出身で学生運
動から叩きあげた、今どき珍しいほど心のきれいな
「武士は食わねど高楊枝」を地でゆく直球男です。
 その藤村氏は学生時代に、学校祭に招いた歌手で、
現在は石井好子女史の後を継いで日本シャンソン協
会会長になった芦野宏さんに見込まれて、マネージ
ャーとなり、そのために人生の後半の設計が狂った
まま半生を過ごしています。これも腐れ縁です。
            つづく
 ーーーーーーーーーーーーーー
 さて話題を変えて、女性のための開運講座です。
 これは、恋愛、結婚、再婚に役立つ開運法です。
 途中からご覧の方は、遡ってご覧になってくだ
さい。勿論、男性が見ても役立つはずです。
 ーーーーーーーーーーーーーーー

 女性のための開運講座ー56 

 恋愛・結婚、さまざま模様-24

 ○日頃の態度で男を見抜く-1

 男でも女でも、恋愛中と結婚後ではまるで別人の
ような男がいます。あのデートでのかいがいしいナ
イト振りはどこに消えたのか? 「これじゃ、詐欺
です!」と、後でいくら喚いても手遅れです。
「釣った魚に餌をやるバカがどこにいる」と、古い
俗言を口にして敵はふてぶてしく開き直るだけです。

 こんなタイプは?

 1、きまじめ男
 きまじめで几帳面、正直者で、恋人でも妻でも不
正は許さず、曲がったことは大嫌い、百円玉一つ拾
っても交番を探して届に行く。友人、親子、兄弟で
も不正は見逃さないぐらいですから、恋人のウソな
ど許すわけがありません。不倫などとんでもないこ
とです。こんな男は、付き合ってみて全然面白くな
いし疲れるだけです。でも、女性はこの正義感に弱
いのです。

 2、口だけ男
 職場でも家庭でも、すぐ自説を振りかざす論説者
タイプがいます。これがまた口だけ達者で、上司だ
ろうが社長だろうが何でも理路整然と論破して意気
軒昂、実際には全く働かないのですが、クレーム掛
りにはピッタリ適役で重宝されます。
 もしも、あなたが近所隣りと不仲で村八分になって
もいいと思ったら深入りしてください。NHKの視
聴料集金を撃退する程度の役には立つと思います。

 3、遊び男
 感性豊かで、芸術・芸能はすべて大好き、趣味の
幅も広いという男もいます。この世は楽しむために
ある、という遊び好きタイプで、グルメ通の道楽者
です。地球は滅びても自分は生き残る、と思ってい
られる楽天家で、恋愛にもおおらかで、独占欲もあ
りません。来る者はこばまず、去る者は・・・しつ
こく追い回します。遊び好き男は、恋愛相手として
は大いに楽しめますが、結婚はいけません。稼ぐよ
り遊びますから、すぐ台所が火の車になって炎上、
財布も心も貧しくなってしまいます。

 4、夢追い男
  派手で陽気で見栄っぱり、社会的な信用を大切
にしますので、実力以上に背伸びをして暮らします。
 恋人選びも高のぞみですから、こんな男にプロポー
ズされたら自信をもってください。ただし、恋愛状
態に入っても、なかなか結婚には至りません。情熱
的でロマンチストで、いつも恋をしていたいタイプ
で、結婚などという現実的なものには興味がないの
です。

 5、新しもの好き男
 新しいことには何にでも興味を示し、すぐ手を出
し、すぐ飽き、すぐ忘れる人がいます。感情の変化
が大きく、大勢の中では賑やかな雰囲気を演出して
座の中央にいますが、二人っきりになると急に大人
しくなって会話も弾まないタイプです。ひょっとす
ると、寂しさを紛らわすために恋愛をしているのか
も知れません。結婚して寂しさが解消されてからの
変身ぶりが見たい人は、こんな男と恋をしてみてく
ださい。
                    つづく
      ---
 書店発売中の「坂本龍馬異聞」に続き「新撰組
3部作」を執筆中です。その内容を先にお届けし
ます。
 ホームページでも挿絵入りで連載を始めました。
      ---

 新撰組ー異聞

 第二章 勝太の心象風景

(4)弟弟子・惣次郎-2-2

「わしが二十歳で養子に来て、天然理心流三代目を
正式に継いだのは三十二歳の天保元年(一八三〇年
)、長かったな」
「優秀な三人が弟子を連れて独立したら、本家は空
っぽですね?」
「少しは残ったさ。わしは義父の築いた戸吹村道場
はそのまま温存し、新たに自分の故郷の小山村にも
道場を開いて、小山村と戸吹村を往来して弟子を育
てたんじゃが、江戸にも出たかった」
「それで、ここへ?」
「わしが、養子に入った近藤姓を名乗ったのは、この
牛込甲良屋敷に「試衛館」道場を構えてからだからな。
勝太を養子にした弘化元年(一八四四年)から、わし
は近藤姓も使うようにしたが、いまだに勝太はそのま
ま島崎姓を継がせて、島崎勝太と名乗らせている」
「なぜ、近藤勝太じゃないんですか?」
「兄弟子達が勝太を天然理心流の四代目に認めたら、
襲名披露後に名を改めて近藤勇昌宜(いさみ・まさ
よし)と考えておるんじゃ」
「近藤勇? いかにも強そうな名ですね。大先生、
勝太さんの襲名はいつですか?」
「まだ決められん。原田ら三人がごっそり門人連れ
で抜けたら試衛館はもたんからな」
「大先生の宗家争いと、そっくり同じですね?」
「そういえば、そうだな」
「大先生はそこから出発して成功したんだから、勝
太さんも心配ないですよ」
「惣次郎はそう思うか?」
「おれがいますから・・・それに」
 惣次郎が笑顔で勝太を見た。
「勝太さんが襲名を急がないと、おいらに抜かれま
すよ」
「おまえに?」
「名前も、おいらが頂いて沖田勇、どうです?」
 勝太が睨むが、十一歳の惣次郎は人の顔色など気
にもしない。
(このガキ、案外本気かも知れない)と、勝太はそ
ら恐ろしく思った。
                 つづく
      ---
 では、次回をお楽しみに・・・・
=========================================