九州から戻りました。


 お元気ですか?
私が楽しみにしていた一週間の九州の鮎旅も、降り続く雨の中で終わりました。
 それにして、連日、ゲリラ豪雨に見舞われてビショ濡れでした。川は増水して水底のコケも少なく、縄張りを持つ野鮎も極端に少ないだけ

に釣り人の姿も見掛けません。それでも、時々は何を血迷ったかオトリに襲い掛かってきてハリ掛かりする運の悪い鮎もいるから止められな

いのです。1日、2時間ほどの釣りですから釣果はさっぱりです。それでも観光を含めて充分に英気を養ってきました。
「おどま盆きり盆きり盆からおらんど・・・」
 あの哀しい調べで知られる五木の子守歌の里、五木村もすっかり様変わりしていました。
 私が五木ダム反対の先鋒を務めてのドキュメント「巨大ダムは要らない!」で取材に訪れた五木村は、川辺川の畔の狭い地域に村役場や駐

車場や学校などギュウギュウ詰めの状態で、民家も庭の少ない見るからに貧しい家ばかりでした。
 その五木村が今や補償金で潤って高台に移動、近代的で快適な文化村に大変身、目を見張るばかりです。
 ダム反対運動で一致団結した村人でしたが、補償金に1億円という一生かかっても稼ぎ切れないニンジンを鼻先にぶら下げられてあは断る

者もいません。皆さん一律に「右に倣え」でダム賛成に寝返ったのです。
 ともあれ、ダム反対は県民の声でしたので工事は中止されました。
 その工事の余波が木を倒し崖を削った天罰としての川の汚れです。
 かつては四万十川支流の仁淀川、日光連山から流れ落ちる大芦川と並ぶ清流だった川辺川は今や雨が降ると土色の濁流です。
 今回も球磨川との合流点に入り、球磨川はまだ鮎が釣れる水色なのに川辺川はドブ濁り、その汚れの差に唖然としました。
 これから先、また行政とゼネコンの癒着でダム工事再開か、工事の全面撤退での後始末かで大仕事を仕掛けるのも読めます。
 貧しさから豊かさに変わった五木村からは暫く目が離せません。それと、五木村には美味しい蕎麦屋がありました。