TPP交渉で笑うか泣くか。


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  暑いですね。
 築地サロンからみた満月の下での築地本願寺の盆踊り、盛り上がってました。
 この暑さを乗り切るには焼肉でビール、その牛肉も揉めています。
 ハワイで行われたTPP(環太平洋連携協定)交渉の閣僚会合は、知的財産、乳製品、自動車などの溝が埋まらず、大筋合意にはいたらずに結論を先送りにすることになったようです。
 環太平洋パートナーシップとか「平成の開国」といえば聞こえはいいのですが、各国の利害関係と思惑が絡むから複雑なのです。
 国境なき関税撤廃で、何もかも自由購買にすれば、「消費者は安くていい物を自由に選べるからいいじゃないか?」という声が徐々に出始めています。これが、いいか悪いかは、その職業的立ち場で大きく変わります。
 まず、関税を髙く設定し輸入量も制限してあるコメの関税を撤廃し、今、アメリカが主張する大量のアメリカ米が輸入されたら、日本の米作農家は壊滅、自給率が大幅に減って日本はもう独立国家どころかアメリカなしでは生活できないことになります。その見返りに輸出する車の関税がなくなれば日本の自動車業界は高利益で国内の景気は上向きます。その結果、日本は産業優先、農業衰退になるのですが、どちらが日本にとっていいのか? 政府のなやみどころです。かといって、そう簡単に妥協は出来ません。そんななことをしたら国内の産業で倒産続出の産業分野も予想できるからです。
 国は国境を守るように貿易には関税という税金をかけて自国の産業を守り国の税収も増やしてきました。この関税をなくして自由競争で
貿易をしようというのが国際的な傾向になっています。その自由貿易の一歩手前が今回のTPP交渉です。
 この関税撤廃論者が民主党の菅直人元首相で、「平成の開国」と呼んで日本は世界に開かれるべきだ、と訴えていました。
 この「平成の開国」論者は、貿易だけでなく投資や貨幣の流通、雇用や人材の往来を含めた経済活動もっと自由に行なうべきだと主張します。今までは輸入品に高い関税をかけて自国の製品や産業を守ってきたが、これからは、あまり規制を行なわずに各国間が自由に貿易や経済活動を行えば、もっと産業やビジネスが活発になるはず・・・これが「平成の開国」論の根拠です。
 しかし、アメリカ、オーストラリア、東南アジア各国など文化も人件費も生産原価も異なった国が、好き勝手に貿易を始めたらどうなるのか? それが心配で交渉が難航しています。
 各国が関税のからくりを利用して自国の産業や農業、経済活動を守ってきた例を上げますと、中国は日本や欧米の自動車、家電製品などはに特別に高い関税で高額商品いしています。ですから業者が飛行機で日本に来て爆買いして販売しても格安なのです。
 日本も例外ではありません。最近は美味しくなったとカリフォルニア米などは約800%の関税で農家を守っています。販売価格の8倍の関税をかけても日本のお米より安いのです。これが関税撤廃になったら多分、日本の米の10分の1、外食産業はもう日本のコメなど見向きもしません。一般家庭でも大家族なら1キロ40円以下で買える外米に飛びつきます。これで日本のコメ農家の大半は高級米作りに走るか米を諦めるかどちらかになります。
 日本は、バターや砂糖などには300%超の関税で一部の国内業者を守ってきました。いまアメリカなどとの交渉で難航している輸入牛肉の関税は38・5%、これが撤廃されると日本の酪農家は壊滅とのことですが、我が家は牛肉が4割も安く買えたら? 
 こう見てゆくと、関税撤廃賛成の声が出るのも仕方ないことですね。今でも日本の自給率は5割を切っているのですから今更・・・こう考えたくなるのも無理はありません。
 でも、政治には裏があります。交通違反の罰金が国家予算に組み込まれているように、関税はどの国でも大切な国家の財源で、日本では国家予算の1,8%、約8000億円です。平均関税率はアメリカ3・5%。日本5・1、EU5・2、カナダ6・7、中国10.韓国16・5、フィリッピン25・7%とまちまちですが日本が良心的なのがよく分かりますます。最悪なのはバングラディッシュの169・2%、これでは貿易は成り立ちませんから、救援物資としてただで上げているのかも知れません。
 と、以上のような裏事情が絡んでのTPP交渉ですから一筋縄ではいかないのです。
 ところで、年金制度がまた改悪されます。こうなると、関税妥協で家計に直結する格安主要食品の輸入も仕方ない・・・こう国民に思わせる政府の巧妙な仕掛けで、このTPP交渉は進行しているようにも思えます。
 暑さ厳しき折、お体を大切に・・・