豪雨と渇水


191004五木&鮎 043

 8月下旬、小中学校の学童達にとって貴重な夏休みの最終コース、なのに地域によっては天候不順で行楽計画はあえあなく崩壊です。
以前、北海道に関しての豆知識に「北海道には扇風機、冷房施設は要らない」「北海道には台風は来ない」「米はまずい」、これは常識でした。ですから「夏の避暑は北海道!」「海の幸と札幌ラーメン!」などというキャンペーンに違和感はなかったのです。
ところが、最近の北海道は札幌で内地より暑い37度の日があったり、知人から「美味しい米」が送られて来たり、台風が立て続けに襲ってきたりと、もはや、北海道も九州も環境は変わらない・・・いや、少々は違います。北海道の一部が台風と大暴風雨で川が氾濫、床下浸水 それどころではありません。今日、27日(土)も大気は不安定で、北日本には大雨注意報が出て、土砂災害などに警戒しなければならないのです。気象庁は「大雨と雷及び突風に関する全般気象情報 第2号」を発表しました。これは、かなりの警戒警報です。
こうなると、オホーツク海の低気圧から南西にのびる寒冷前線が北日本一帯を覆い、大気の状態が不安定になって大雨が降り、低地の浸水や河川の増水や氾濫、崖崩れによる土砂災害、さらに、落雷や竜巻などの被害、激しい突風にも注意が必要です。
気象庁の予想では、27日の24時間での降雨量は、北海道太平洋側東部と東北日本海側北部で150ミリ、これ以上、水害は増やしたくないのに余りにも無情な降雨量です。被害に遇われた方々には、心から謹んでお見舞い申し上げます。
このように北海道、東北地方では豪雨で災害続きなのに、なんと、この日本には雨不足の地域もあるのです。
さて、ここからは私事で申し訳ありません。
8月中旬、お盆過ぎにと満を侍しての九州球磨川(熊本県球磨郡)の大鮎釣り行きが、なんと渇水情報での土壇場キャンセルです。当然ながら予約した旅行会社には30%の旅券取り消し料を払う羽目で、次回は9月11日(日)からの仕切り直しになっています。昨年も一昨年も、豪雨に祟られて不満足な釣行だったのが一転しての水不足、球磨川には二十年以上通い詰めて皆勤賞ものの私ですが、渇水での釣行中止は前代未聞、初めての出来事です。
確かに、渇水だと川の水温が異様に高くなり、川底の石に付着した苔(川藻)が腐って、新鮮な川苔を餌にして縄張りを持つ鮎が石に近寄らず、オトリ鮎を泳がせても縄張り争いになりませんから鮎は釣れません。それでも、球磨川の流れに立ちこんで竿を出す楽しみは得られますから釣果はともかく、私は行きたいのです。なのに相棒の先輩釣友(大分市在住)が「釣れない釣りが出来るか!」と、我々の足になるジープでの出迎えを拒絶、それで上記の如く日延べになったのです。
過去には、台風の通り道の九州ですから豪雨で濁流渦巻く球磨川には勝てずキャンセル続き、旅券取り消し料も5万円近くに嵩んだこともありますが、渇水での日延べは後にも先にも今回が初めての出来事で、珍事としか言いようがありません。
その現地情報は、地元の釣り仲間や鮎宿からの電話ですが、過去には、濁流増水で鮎釣り不可の情報を無視して釣行を強行、釣りにならず温泉三昧で帰京して笑われた年もあります。一昨年は、豪雨の中の土曜日に自分のラジオ番組(山口放送・32年目)に用意した原稿が雨に濡れて破れ、番組がメチャメチャになった悲喜劇もあり、今年は土曜日を避けての釣行で準備万端・・・これで大鮎が釣れない訳がありません。と、20数年間、大鮎と戯れる夢を追い続けて球磨川に通ういつもの自分です。
ちなみに大鮎日本記録は数年前の33センチ、500グラム、釣り人・野嶋玉造(群馬県)、現認者・花見正樹、これはDVDにもなって全国発売され、この記録は未だに破られていません。そこに名を連ねた私は、あちこちで「あんたも一緒に尺鮎を釣ったか?」と言われ、「見てただけだ」、憮然と応じますが、ならば現認者より記録更新者に・・・と、下手な鮎釣り師を自認しつつも見果てぬ夢を追っています。

(注)「巨鮎(おおあゆ)に憑かれた男たち(花見正樹著・釣りびと社刊)」もあり、大鮎釣りは、もの書き、占い、と並ぶ私の三大生き甲斐の一つです。鮎釣り歴は60年、私の人生の中でもっとも進歩も成果もない趣味ですから自分でも呆れます。