相手はしたたかでした。


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 ロシアのプーチン大統領は、やはり評判通りのしたたかさで、日本の主張を軽く跳ね除けて帰国しました。
北方四島は戦勝国の旧ソ連が不法に占領したにも拘わらず、日本が四島支配を放棄したから自国領土として実効支配している、と、ロシア側は主張します。ロシアとしては、日本が見捨てた島々を自国の領土にしたのだから、日本が返還を求めるのは、筋違いだ、と言うのです。
ただし、日本が、現ロシア連邦の北方四島領有権を認めた上で、割譲して欲しい、との要望があれば、平和条約締結後に、ロシアへの大型経済協力の見返りとして二島を譲渡してもいい、と、ぬけぬけと言います。
彼らは、日ソ中立条約による不可侵条約を破って強奪して不法占拠した日本固有の領土を我が物にして、返還ではなく、あくまでも経済協力という有料「譲渡」だと主張していて、それで嫌なら交渉はしない、まず大型経済協力で「誠意を見せろ」と凄みます。

 北方領土の帰属を決めた「サンフランシスコ平和条約」では、南樺太と千島列島はソ連に強奪されましたが、国後、択捉両島はソ連領には含まれていません。ましてや、色丹および歯舞諸島は地域的にも北海道の一部です。したがって、北方四島は法的には明らかに日本領です。
なのに、択捉島にはロシア空港が建設され、極東の軍事拠点化されつつあり、日本に返還する気配など全く見えません。
彼らの考えでは、戦争で勝ち取って一旦国庫に財産として収納したら自分たちの物、それを、平和条約締結後に譲渡してやると言っているのに、まだ何か不服があるのか、と公然と自国の立場を明確にしています。そこには、盗人猛々しい、という白々しい悪党の態度など微塵もありません。プーチン大統領は、それらを当然として確信しているからこそ安倍総理を上から見下ろして一歩も譲ろうとしないのです。
安倍総理は、プーチン大統領とのこの歴史的会談の会場を総理官邸ではなく、わざわざ郷里の山口県で開催したのは、歴史的な華々しい成果を実現して故郷に錦を飾る予定だったからです。ご自分では、これまでに何度かプーチン大統領と会っただけで、友達にでもなったような錯覚でいたのが間違いの元、正式会談となったら「肩透かし」どころか、軽く「大外刈り」で投げ飛ばされて、手も足も出なかったのです。

 それでも口だけは達者です。
「何べん同じ主張を繰り返しても相手は動じなかった。それでも一歩前進、交渉はこれからです」、会談後の安倍総理の談話と、疲労と敗北感で引きつった蒼くやつれた顔を見ただけで、まざまざと会談が不調に終わったことが読み取れて総理が哀れに思えました。
しかし、これをそのまま公表するのは国際的にも日本にとって国益を損なって不利ですから、官房長官指令でテレビにも自粛を迫り、何とか多少の成果を発表したかったと思いますが、真相は一方的な経済支援を迫られただけで成果っどころか、修羅場に弱いボンボン総理が、秘密警察出身の凄腕大統領に手玉に取られてギブアップ・・・自国の総理として、こんな惨めな姿は見たくもありません。
テレビでは、総理の敗北には触れず、交渉の「難しさ」だけを強調したにとどめていますが、どれもこれも中途半端な報道で消化不良、報道各局のスタッフも特番も組めずに悔しい思いをした事でしょう。

 以上、正論は正論として、ロシアが経済援助で二島の「移譲」を匂わせたのですから、超大型援助で四島を買い取る案があってもいいような気がします。その金額が幾ら高額であっても国中の企業や個人から募金を募れば何とかなります。漁業権や観光資源などの国益を考えれば北方領土の確保は絶対に必要です。日本側は、経済協力で四島返還と記述し、ロシア側は、経済協力の代償に四島を譲渡したと記述すれば、お互いの面子は潰れません。これなら、話し合いの糸口はつくはずです。

 北海道を旅して、知床峠から眺めると、わずか40キロ東に見える国後島はすぐ目の前です。現在ロシアが実効支配している択捉、国後、色丹、歯舞群島の四島とその周辺の岩礁までも、私達の認識では日本固有の土地に間違いありません。
ですから、返還を求めるのは当然のこと。ところが、相手は獰猛な北海の熊、道理や常識は通じません。そこで上記の案が有効になります。しかも、先方は武力で奪取した島々ですから原価はゼロです。これが巨額の経済援助に化けるのですから損はありません。
しかし、これには、自分の土地を金を払ってまでして買い戻すのか! という抵抗もあります。

 ならば、武力で奪われたのだから武力で取り返すという案が出ても不思議はありません。
今から科学、工学、物理学、兵学など日本人の総力を挙げて徹底的に軍事化して北朝鮮以上の核保有国になって四島奪取の戦闘を仕掛ける手もあります。これなら、安倍総理も考えそうなことで、すでに総理官邸で秘密会議が持たれているかも知れません。
勿論、これには強大な武力が必要、長州出身の安倍総理は、間違いなく頭の中では軍拡を考えたはず。あの屈辱感に溢れた顔を見ていると、そうとしか思えません。私の身内もシベリヤ抑留で瀕死の思いをしていて、旧ソ連に恨みはありますから反対はしません。でも、それには安倍総理が、往年のヒトラー総統のような狂信的カリスマ性で国論を一つにまとめ上げねばなりません。
最近の安倍総理なら独裁的で弁舌も巧み、支持率も高く、当面のライバルもいませんから、真似ごとぐらい出来るような気もします。

 だが、国論を統一するには、まず長州嫌いの会津との完全和睦が先決になります。
そうなると、長州と鹿児島、旧南部藩と伊達とか、三春と二本松、庄内と秋田など、戊辰内乱150年を契機に大規模な仲直りイベントで国内を一つにまとめ上げねばなりません。ま、それまで安倍政権が持てば、の話ですが・・・。