保育参観日

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保育参観日

新海 富美代

 先日 孫の幼稚園の保育参観に 娘が仕事の為参観出来ないので代わりに参加してきました。
その保育参観での出来事で感じた事があります。
10時からの保育で年長さんの孫達は、先ずメロディーオンの練習からスタートです。
私は、保育室の隅から参観、孫の様子を見ていれば良かったので問題なく過ごしていました。
次は、いつも外部から体育の講師を招いて子供達が指導を受けているようで、その様子を見せてくれました。お天気も良く幼稚園の庭で跳び箱や平均台を使ったりして今までの指導の成果を見せてくれたのです。
子供達の成長は目覚ましいものがありました。ここまでは全く問題なく参観しておりました。
ここからが問題です。
体育講師の先生が「長縄跳びをします。今日はお父さんお母さんが来てくれているから、一緒に跳びましょう!」と子供達にお父さんお母さんを連れて来るようにと言われました。
私はドキッとして、「困った!」と思っている間に、孫が誘いに来ました!孫も遠慮しつつ私の手
を引いて行きました。
皆さん20代や30代前半のお父さんお母さんばかり。61歳も過ぎた私が8の字を描き走りながら長縄を跳んで皆さんの流れについて行く事が出来るか心配でした。と、思ひながらも私の気持ちの中には、幼稚園の先生をしていた経験があるので その当時は良くやっていたし 私はまだ年の割には若いし、孫ともよく動き遊ぶので大丈夫だろう!という気持ちとが 半々ありました。
孫が先に跳び、いざ私の出番! タイミングを合わせ縄の中に。
ところが、タイミング合わせたつもりでしたが、一瞬入れそびれて縄に足が引っかかってしまいました。それでも気を取りなおアして再度挑戦! 今度はタイミングを何とか合わせて跳ぶ事が出来たのですが 縄から走り出て第1歩目 脚を地面に着けた途端に、「ガクッ」っと膝が折れ、脚を踏ん張る事が出来ずに、両手両膝を地面に着けて倒れ込んでしまいました。
これは予期しなかった不測の出来事ですから私自身も何が何だか分からず無我夢中で立ち上って、皆さんが並んでいる列の後に急ぎ、何気ない振りをして二回目の跳躍に備えて身構えましたが内面は冷や汗タラタラ心臓パクパク状態でした。
おりしも夫が、不在の娘に見せるためにと、カメラ代わりのスマホを構えて孫と私の活躍ぶりを動画撮影中でした。それが、画面から突然、フッと私が消えてしまったのでビックリ! あわててスマホから目を離して実情を知ったとのこと。おかげで、私の無様な姿は記録には残っていません。これこそ不幸中の幸いというものです。
2回めの挑戦は、失敗はしたものの1回跳んで身体が昔の感覚を呼び戻してくれたのか、20代30代の若い母親たちとほぼ同じ姿勢でスムーズに長縄を跳ぶことが出来ました。私が最終走者でしたので講師の先生も「はい!皆さん綺麗に跳べました。ご苦労様でした。拍手!」という事で無事に保育参観終了、波乱含みの一日でした。
その帰路。夫が曰く「跳ぶ前に準備運動代わりに何回か跳躍して身体に感覚を覚えさせておけばよかったのに」と言われましたが、後の祭り、私の身体は全身脱力感で重く、それから数日は長縄跳びの後遺症として残って仕舞いました。
娘が帰宅後 孫と私の奮戦ぶりを動画を見せながら、そんな出来事の話をしたら、「骨折しなくて良かった。お母さんもご自分の脚の衰えをよく分かったでしょ」、と言われました。娘は理学療法士ですから一言もありません。娘が続けた話によると、私達と同年代の方々が階段を降りて 脚の衰えの為に踏ん張れず転んで骨折するケースが多々あるとのことです。
私はこの日の体験で、頭の中で描いている通りにならないもどかしさを感じました。年齢を重ねれば誰でも同じことですが、
頭の中で考えることと、実際にその場で体感したことでは全く違う・・・この違和感こそ老化現象だと私は痛切に悟りました。
いくら気持ちだけ若いと思っても、身体はついて来ないのです。だからこそ、日頃から自分の限界に挑戦して、もっと自分を知っておかねばならないのです。
 なお、この縄跳び体験は一回目の失敗に拘わらず、二度めは私も若い人達に混じって何とか飛べましたので、夫には「やればできるじゃないか」と褒められ、孫にも「カッコよかったよ」と言われて面目をほどこしました。これも、週に2回ほどジムに通って筋肉が衰えないように鍛錬の真似事をしていたお蔭と自我自賛ですが、内心は二度ともこけたら同だっただろうと胸なで下ろして安堵したところです。