風の盆 話題にすれど いまだ見ず

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無償の愛をつぶやく Ⅱ

高尾 義彦
風の盆 話題にすれど いまだ見ず
(2014/09/02)
 富山市八尾は三日まで静かな踊りの波が町を覆う。二〇数年前に浦和のある女性が、眼をきらきら輝かせて八尾体験を話してくれた
時に、初めて風の盆を知った。カラオケで菅原洋一さんの「風の盆」を歌ったりする。

蚊も蝿も ー茶てあれば 友なるを
(2014/09/03)
デング熱の患者が急増している。代々木公園の蚊が媒介した、と。アフリカでは死に至る恐怖に慄く事態に。田舎で育ち、蝿や蚊は
生をともにする存在だつたが、いまや、そんなことは言っていられない。

新米を 喉で味わう 寿司十貫
(2014/09/04)
昼食の相手がいない時は少し足を伸ばしてお気に入りの寿司屋さんへ。舌だけでなく、喉の奥まで旨みを味わう。昨日は、三か月に
一度の歯のチェックに日本歯科大病院へ。一目三度の歯磨きの成果を誉められ、美味しい食事に、継続は力。

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やさしさを形に
・杉本準一郎さんの個展に寄せて
∥「人生八管」一五年
正月・創刊号

 東日本大震災から一年が経った-22012年3月11日、杉本さんの車で、滋賀県湖南市にある国宝・善水寺に案内してもらつた。ここで杉本さんは地元で生産されるサクラ御影などを用い、住民の手も借りて、連帯して作品を磨いていた。その年の四月から[CORRESPONDENCE」と名づけた彫刻展を、境内を舞台に展開する準備段階だった。
手のひらに包まれたような「始まりの形」や花崗岩で出来た「海を行く」などの作品。
天台宗の寺で、悠久のアジアの知恵や深い思想を感じっつ、杉本さんは「生涯で一等の興奮の時間。すっかり本物のアジア人に」と述懐する。インドやネパールの体験を熱っぽく語る。すべての作品の底流に、その思いが流れ、それはアジアの悠久の時間の流れと感覚を共有しているように受け止められた。
上野の東京都美術館で二〇一四年二月に開かれた「現代日本彫刻作家展」では、緑の石材を使った造形が、会場の床に横たわつていた。思わず触れてみたくなるようなやさしさ、あたたかさ、なめらかさ。作品に触れてもいい彫刻展は割に少ないが、杉本さんの作品は、見るだけでなく触れてみて、肌合いに共感できる特徴も備えている。
今回の個展では、「青石」を使った作品が出品されると聞いて、ふるさと徳島との縁に驚いた。「大谷通れば石ばかり」と阿波踊りの嚇子言葉に出てくるのが「阿波の青石」。徳島城址公園の庭石などで見慣れた石材だ。割れやすい、などの欠点もあると聞くが、徳島特産の藍にも通じる色のこの石から、杉本さんがどんな やさしさ」を表現してくれるか。