東国三社を歴訪する(3)鹿島神宮の御船祭

鹿島神宮御船祭        

平成14年壬午(みずのえうま)御船祭(みふねさい)は 干支の組み合わせの19番目。               陰陽五行では、十干の壬(みずのえ)は陽の水、十二支の午は陽の火、相剋(水剋火)となります。                                                                                                    

                                            

鹿島神宮の御船祭が12年に一度、午年に斎行されるのは、十二支が一巡すること、また午は方角では南、時刻では正午と陽性が最も盛んであることから来ているとの理由。そしてこの大祭にはあらゆる邪気と不景気を祓う一陽来復の願いが込められているということです。

12年に一度斎行される鹿島神宮の御船祭とはどんなお祭りなのでしょう。鹿島神宮のHPの映像から拝見させていただきましょう。

遠い昔、北の平野が太平洋に続く海だったころ、この高台に武甕槌大神(タケミカズチノオオカミ)をお祭りして鹿島神宮が造られました。神宮に残る古い記録では2600年以上昔のことだと伝えられています。1300年昔の常陸国の風土記にはこう書いてあります。

「あめつちの開(ひら)くるより先、高天(たかま)の原より下り越し大神の皆を鹿島の天(あめ)の大神(おおかみ)という」。

歴史の始まるずっと前ということですね。そして崇神天皇の時代には、神宮に御手座(みてぐら)を建て祭ったとも書かれていますから、少なくても風土記の時代よりもっと前に鹿島神宮はすでに建てられていたということになります。

9月1日 午前10時 例祭

 

天皇のお使い、勅使御参向。1800年も昔、崇神天皇の御手座(みてぐら)のお使いも、きっとこのようにお迎えしたのでしょう。

舞楽・蘭陸王、神輿、提灯櫓、お焚火、神幸祭(午後8時)、行宮(あんぐう)「神様が宿泊される宮」、ここでお祭りの一日目終了。

9月2日 午前8時 ・・・行宮御発與祭(あんぐうごはつよさい)・・神様の御神誉(ごしんよ)の出発前の式典。いよいよ鹿島の天の大神 タケミカズチノオオカミの御仁幸(ごじんこう)。後に従う供奉(ぐぶ)の人々は、なんと2600人以上、約2kの道を御座船が待つ大船津へと向かいます。

すごい行列。次から次へと旗やのぼりが通り過ぎます。人々の陣羽織や武具の飾りが陽の光にぎらぎら輝きます。

国宝・布都御魂剣(ふつのみたまのつるぎ)です。

1300年の昔にかかれた古事記にはタケミカヅチの大神が、この剣となって神武天皇の危機を救われたと書かれています。神宮の法物(ほうぶつ)です。

御神誉(ごしんよ)の鹿島神宮御座船の出発です。水上13キロ、90艘にも及ぶお供の船が後に従います。

香取神宮の旗が立つ御座船、香取神宮のお迎え船です。はるばる本利根川の香取の坪宮から、この常陸利根川の加藤洲まで香取神宮の宮司さん神職二人が船で来られて、鹿島の武甕槌大神タケミカズチノオオカミ」のお迎えするお迎え祭りを行います。

4月に行われる香取神宮の式年神幸祭にも、12年に一度のお舟遊びがあり、その時には鹿島神宮のお迎え船が宮司さん神職さんを乗せて、牛ヶ原に向かい、香取神宮の経津主大神フツヌシノオオカミ」のお迎まつりをおこないます。12年に一度、鹿島と香取の神様がお互いに向かえ合われるのです。

「香取神宮 お迎え祭」の儀式、「浦安の鈴舞い」12年前の午年に生まれた可愛い巫女さんたちの舞が奉納される。お迎え祭りが終わると御座船は対岸の潮来河岸に向かい、数々の舞が奉納される。「日立成沢ささら舞い」「会瀬ささら舞い」「水郷太鼓」「御着船祭」

鹿島神宮の武甕槌大神タケミカズチノオオカミ」の御神誉(ごしんよ)が無事、安寧(あんねい)にもどって来られました。陸の上・水の上、合わせて15キロの旅、合計30キロにも及ぶ大行進でした。行宮御着與祭終了 鹿島神宮万歳! 企画  鹿島神宮

このお祭りを鹿島神宮のサイトから拝見すると、2600年以上前に武甕槌大神タケミカズチノオオカミ」をお祭りして鹿島神宮が建てられたこと、そして12年に一度そのお祭りが今日も続けられていることが記され、高天原の神々の賑やかなご様子が伝わってくるようでした。

そして当時の日本の国土は、北側は海が広がっており、鹿島の辺りは高台であったために、天孫降臨もイメージしやすくなります。

よくぞ、今日まで12年に一度の儀式として私たちに伝え残してくださったと感動の気持ちを抑えることができません。

田中教授の高天原は地上にあった。そして神々は、鹿島神宮、香取神宮、息栖神社から船で天孫降臨し九州の鹿島の子供である鹿児島の天降川に舞い降りた。ということが理解できます。次号では、鹿島神宮の境内のご案内です。

写真:鹿島神宮