月別アーカイブ: 2019年2月

ジローとの再会ー6

幸福を売る男

芦野 宏

Ⅱ 夢のような歌ひとすじ

3、初吹き込み・初渡仏

ジローとの再会-6

 昭和二十三年の暮れに、自主リサイタルとして三度目の連続リサイタル『クリスマス・リサイタル(山菜ホール、イヴまでの一週間)開催。第一部「プチ・パパ・ノエル」ほかフランスのクリスマス・ソング、第二部「パパと踊ろうよ」などの新しいシャンソン、第三部「さくらんぼの実る頃」ほか古いシャンソン、それぞれ五曲ずつという構成。各部の間にアンサンブル・ミュゼット(浜中外代治、稲葉脚光、岡田博、神谷正行) の演奏をワンステージ設けた。

昭和三十四年十一月、芸術祭参加『秋のリサイタル』が催される(産経新聞評)
「芦野宏が『日本のうた』と『パリのうた』 の会を五日 (六H芸術祭参加公演)夜、産経ホールで開いた。会場は静かなシャンソン・ファンで満員。最後のアンコールが終わるまで、ひとりも席を立つものがなかった気持ちのいい催しだった。総体にゆったりとした歌いぶりで、音程もしっかりしており、東京混声合唱団や、東京メール・クワルテットを効果的に使い、視覚に変化を持たせるなど、演出に力を入れて頭脳的なプレーをみせ、ラストまで客をひきつけるうまさは、さすがにシャンソン界第一の実
力者とはいえそうだ。
浜辺の歌や椰子の実などの日本の歌曲から馬子唄、佐渡おけさなどの民謡も、よく計算した結果がており、コーラスのアンサンブルに助けられて、いわゆる芦野調を十分生かしている点、聞きごたえのあるものだった。平岡精二クインテットと共演し、語りの要素を生かした(ある青年のノートから)は、しっとりとした味わいがあり、間のとりかたもよ〈、後半の 「パリのうた」の数々とともに素直に客をムードへ引き込んでいくうまさがあった」(演出・葦原邦子)
このリサイタルの模様は十二月八日に日本テレビから放映された。その反響として、読売新聞十二月十四日『放送塔』を引用する。
「……日本のシャンソン界にも、これだけのレパートリーを持つ歌手がいるとは思わなかった。二時間という長時間、ともかくワンマン・ショーとしてあきさせないようにするには、どんなにむずかしいことか。適当なユーモアと仕草。先日好評だった『ペリー・コモ・ショー』と優に対抗できるのではあるまいか」

3月ライヴスケジュール
※変更になる場合がございます。ご了承ください。
日 時
開演時間 出 演
3月2日(土) 11時~/14時~ 原れい子      ピアノ:大美賀彰代
3月3日(日) 11時~/14時~ 唯文         ピアノ:大美賀彰代
3月9日(土) 11時~/14時~ あみ         ピアノ:今野勝晴
3月10日(日) 11時~/14時~ 岩崎桃子      ピアノ:安藤伸彦
3月16日(土)  11時~/14時~ 小林美恵子    ピアノ:大美賀彰代
3月17日(日) 11時~/14時~ 山添恵子      ピアノ:日野香織
3月21日(木) 11時~/14時~  原れい子      ピアノ:大美賀彰代
3月23日(土) 11時~/14時~ MIKAKO       ピアノ:大美賀彰代
3月24日(日) 14時~ 日本シャンソン館 のど自慢 vol.21
3月30日(土) 11時~/14時~ 小林美恵子     ピアノ:江口純子
3月31日(日) 11時~/14時~ 山添恵子       ピアノ:日野敦子

4月ライヴスケジュール
※変更になる場合がございます。ご了承ください。
日 時
開演時間 出 演
4月6日(土) 11時~/14時~ 原れい子      ピアノ:日野香織
4月7日(日) 11時~/14時~ 山添恵子      ピアノ:江口純子
4月13日(土) 11時~/14時~ あみ         ピアノ:未定
4月14日(日) 11時~/14時~ MIKAKO       ピアノ:大美賀彰代
4月20日(土)  11時~/14時~ 小林美恵子    ピアノ:安藤伸彦
4月21日(日) 11時~/14時~ 岩崎桃子      ピアノ:松川裕
4月27日(土) 11時~/14時~ 原れい子      ピアノ:中野宏美
4月28日(日) 11時~/14時~ 山添恵子      ピアノ:大美賀彰代
4月29日(月) 11時~/14時~ 小林美恵子     ピアノ:日野敦子

2019年4月7日(日)
山添恵子
バースデイ・ライヴ ピアノ:江口純子
時間:第1回公演/11:00~、第2回公演14:00~
会場:日本シャンソン館2Fシャンソニエ「ヴェルメイユ」
料金:入館料 大人1,000円、小人(中学生以下)500円
ライヴ料 500円

どなたでもお聴きいただけます。どうぞお出かけください♪

2019年3月24日(日)
日本シャンソン館
新春シャンソン
のど自慢 vol.21
参加者募集中
ご案内:日本シャンソン館館長 羽鳥功二
ピアノ:大美賀彰代
司会:飯塚裕美
時間:14:00開演
参加費:一般4,000円/友の会会員価格3,000円
会場:日本シャンソン館2F シャンソニエ「ヴェルメイユ」
主催:日本シャンソン館
★どなたでもご参加いただけます。
★歌唱曲はシャンソンに限らせていただきます。
★楽譜をご持参ください(お一人一曲)。
★当日の午前中に譜面合わせを行います。
★最後まで思う存分歌って頂けます。
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観覧料:入館料(1,000円)のみでお聴きいただけます♪


ジローとの再会-5

幸福を売る男

芦野 宏

Ⅱ 夢のような歌ひとすじ

3、初吹き込み・初渡仏

ジローとの再会-5

 東京労音運動史年表には、昭和三十三年「ポピュラー例会のテストケースとして、芦野宏シャンソン・リサイタル(特別例会)を日本青で大成功」とある。当時、労音の運営委員であった土橋政昭さんの感想を以下に引用する。
東京労音「芦野宏シャンソン・リサイタル」「労音が初めて企画したシャンソンの特別例会構成・薩摩忠、昭和三十三年六月)を聴いて『芦野宏シャンソン・リサイタル』は、近頃ほんとに心愉しい例会であった。
第一部、芦野氏の機知あふれるプロローグに続いて歌う(パリのうた)六曲は、シャルル・トレネの歌を中心にした明るい健康さと近代性をもったシャンソンの一面をのびのびと歌ってくれた。(日本のうた)では「プンプンポルカ」がやはり手馴れてうまい。第二部に入って (楽しいうた) はほとんど聴きなれた歌ばかりだが、「小さな汽車」が牧歌的な詩情をたたえて美しい。「風船売り」「ボンボン・キャラメル」の芦野氏は聴衆へのサービスで精一杯というところだが、風船やキャラメルをあげる場合、もう一工夫あってもよかったのではないか。でも聴衆はいちばん喜んでいたようだ。(好きなうた)では「小雨降る径」「メケ・メケ」が素直な感情がよく出ていたように感じた。アンコールで弾き語った「小さなひなげしのように」は照明もはえて劇的な雰囲気が素晴らしかった。
全体的に芦野氏の歌い方は、いかにも歌が好きで愉しんでるんだという感じで、その平凡だが品のいい明るい雰囲気は貴重なパーソナリティだと思う。シャルル・トレネがトウール・ド・シャン《歌の芸》を持った偉大な歌手であるように、芦野氏も今後十分に自己のパーソナリティを生かされんことを望む。音楽を通じて人間の心を豊かにし、結びつけてゆくのが労音の使命のひとつであるとすれば、こういう愉しめる特別例会を多く持つということは今後も大いに期待できるのではないか。会場の雰岡気とマッチして、バンドマスターの浜中外代治氏(アンサンブル・ミュゼット)の伴奏は、会場の女性陣になかなか好評であった。以後の例会が楽しみである」——–

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2月ライヴスケジュール
※変更になる場合がございます。ご了承ください。

日 時
開演時間 出 演
2月17日(日) 11時~/14時~ 原れい子      ピアノ:江口純子
2月23日(土) 11時~/14時~ 藍澤幸頼/瀧本真己 ピアノ:近藤正春
2月24日(日) 11時~/14時~ あみ         ピアノ:今野勝晴

詳細については再上部の「日本シャンソン館のご案内」をご覧ください。

 


ジローとの再会-4

Ⅱ 夢のような歌ひとすじ

3、初吹き込み・初渡仏

ジローとの再会-4

 ところで、昭和三十二年に入ってからはしだいにテレビの仕事が多くなり、日立のスボンサーで日本テレビ制作のミュージカル仕立て連続もの 『東京ロメオ』(脚本・野上彰/音楽・服部良一、共演・中原美紗緒)の主役をすることになった。この模様はパリ祭の夜から毎日曜日の夜、三か月にわたって放映された。挿入歌に「東京の空の下隅田は流れる」などがある。地方公演が多いころで、早朝の一番機で羽田空港に着いてから、すぐにスタジオ入りし、収録後にまた九州へ飛び立つという殺人的スケジュールも平気でやってのけた。
昭和三十三年六月には、東京労音(昭和二十八年発足)がポピュラー例会を始めたので私はまたまた忙しくなった。
(注)
束京労許の前年、二度目の自主連続リサイタルは、昭和二十二年の四月中旬にパリ帰りの成果を披露するべ〈一週間の日程で開催。「観客席は若い女性が圧倒的に多い」(束京新聞)。トリオ・ヴォランのコーラスをバックにイヴェツト・ジローからのプレゼント曲「パリは花束」に始まり、スウインギーなものから、しみじみとしたもの、コミカルなもの、日仏の新曲も取り入れた。後半は「ミラボー橋」などの弾き語りで始め、歌い込んだ「ケベックの街にて」「リオの春」「ラ・メール」などシャルル・トレネ作品を主にした。
「銀座で都合五千人のファンを集めようというのだから、シャンソンもポピュラーになったものだ。……邦人作品集を聞いていると、まだまだ日本語で書かれた曲を歌いあげるという力に乏しい。・・・弾き語りで・・・趣向は悪くなかったが、話がスムーズに流れないので間のびしてしまい‥…・」(報知新聞)。
他方、「パリへ行く前の彼とはガラリと変わって心で歌おうと努力しているのがよみとれた。これは彼の進歩だ。
パリのすぐれたシャンソン歌手の歌をじかに聞くことにより、彼は客観的に自分の歌をふリかえってみたからだろう」(読売新聞)という評も。ピアノ・秋満義孝、ギター・鈴木康允、ベース・浅原哲夫。

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日本シャンソン館最新情報
2月ライヴスケジュール
※変更になる場合がございます。ご了承ください。

日 時
開演時間 出 演
2月10日(日) 11時~/14時~ MIKAKO       ピアノ:日野敦子
2月11日(月)  11時~/14時~ 岩崎桃子     ピアノ:松川裕
2月16日(土)  11時~/14時~ 山添恵子      ピアノ:安藤伸彦
2月17日(日) 11時~/14時~ 原れい子      ピアノ:江口純子
2月23日(土) 11時~/14時~ 藍澤幸頼/瀧本真己 ピアノ:近藤正春
2月24日(日) 11時~/14時~ あみ         ピアノ:今野勝晴

詳細については再上部の「日本シャンソン館のご案内」をご覧ください。


ジローとの再会ー3

幸福を売る男

芦野 宏

Ⅱ 夢のような歌ひとすじ

3、初吹き込み・初渡仏

ジローとの再会-3

昭和三十一年十二月、パリからの帰途、カルカッタで以前から約束されていたコンサートを開いた。映画館を借り切ってのワンマンショーであった。私のショーの前に第一部として、インドの民族音楽、シタールの演奏と民族舞踊が行われ、私は無理やり客席中央に座らされて鑑賞させられた。正直いって退屈だった。同じフレーズのメロディーが何度も何度も繰り返されるし、踊りもみな同じように思えたが、隣の席に寄り添う主催者側の方は、真剣に英語で説明する。この国の人たちは、自分たちが世界一の歴史をもつ世界一すぐれた民族であると、心から思っているのだ。
第二部の 「芦野宏ワンマンショー」では、まだ駆け出しの歌手でレパートリーも少なかったから、デビュー前からのおはこも入れて世界歌めぐりとした。シャンソンは四曲くらいにし、イギリス、ドイツ、スペイン、アメリカ、日本の歌というプログラムであった
が、学校時代に習っていたドイツ語がこんなところで役に立ってくれた。
ペコーとはなぜか心の波長が合って、彼が日本へ来たときも、また私がそれから四年たってパリでレコード吹き込みのために
行ったときも、特別な好意をもって付き合ってくれた。ダイナミックでエネルギッシュな歌い方で 「ムッシュ十万ボルト」と愛称されるジルベール・ペコーの曲は、私には似合わないと思って最初は敬遠していた向きがあった。のちにNHKのテレビ番組『くらしの窓』で週に三日、
一日二、三曲ずつシャンソンを歌うようになったとき、ペコーの曲のリクエストが多く、「白い舟」「居ない人」「もしもお金
があったら」「私の仲間たち」「ふるさとへ帰ったら」など、私は訳詞のなかにし礼さんと組んで、どんどん新曲に取り組んでいって好評を得た。大晦日のNHK『紅白歌合戦』では、昭和三十二年に「メケ・メケ」を歌い、三十三年には「風船売り」を歌ってジルベール・ペコ一にメッセージを送った。

日本シャンソン館最新情報
2月ライヴスケジュール
※変更になる場合がございます。ご了承ください。

日 時
開演時間 出 演
2月2日(土) 11時~/14時~ 山添恵子      ピアノ:日野香織
2月3日(日) 11時~/14時~ 小林美恵子     ピアノ:大美賀彰代
2月9日(土) 11時~/14時~ 原れい子      ピアノ:日野香織
2月10日(日) 11時~/14時~ MIKAKO       ピアノ:日野敦子
2月11日(月)  11時~/14時~ 岩崎桃子     ピアノ:松川裕
2月16日(土)  11時~/14時~ 山添恵子      ピアノ:安藤伸彦
2月17日(日) 11時~/14時~ 原れい子      ピアノ:江口純子
2月23日(土) 11時~/14時~ 藍澤幸頼/瀧本真己 ピアノ:近藤正春
2月24日(日) 11時~/14時~ あみ         ピアノ:今野勝晴

詳細については再上部の「日本シャンソン館のご案内」をご覧ください。

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