人魚の泪

  人魚の泪

    芦野 宏

月の光をあびて 砂浜に散る真珠は

 人を恋した人魚の なげきの泪

 満月の入江の岩陰 聞こえる歌声

 波にはかなく 消えゆく

 若い一人の漁師は 砂浜に散る真珠を

 拾いあつめて いつも 大事にしてた

 春の日の優しい光にまどろむ漁師は

 可愛いい 人魚と出会った

 はじめて知った恋は あまりにもせつなくて

 どんな綺麗な花より 美しかった

 愛しても叶わぬ恋だと知りつつ漁師は

 大事な真珠を渡した

月の光をあびて 砂浜に散る真珠は

 人を恋した人魚の なげきの泪

 満月の入江の岩陰 今でも聞こえる

 哀しい 恋の歌声

——-