月別アーカイブ: 2019年8月

劇場・小屋めぐりとテレビ出演-6

幸福を売る男

芦野 宏

Ⅱ 夢のような歌ひとすじ

4、世界一周と海外録音

劇場・小屋めぐりとテレビ出演-6

 カイロの土産屋で買ったときは、それほど感じなかったのに、パリに持帰ったら、まったく私には合わないように思われたのだ。
香りにもいろいろな文化があり、どうやら私にはパリの香水のほうが相性がいいようだ。
二つの大きな旅行鞄の中には、タロード・ヴァゾーリの書いたオーケストラ用の譜面が四曲分と、パテ・マルコニ社で吹き込んだカラオケのオープンリール・テープも入れた。世界の各地をまわって集めた、小さな民族人形も詰められていた。.
昭和三十五年の旅は、ホノルルを振り出しに、
ロサンゼルス、ニューヨーク、ブエノスアイレ
ス、リオデジャネイロ、そしてパリ。さらにパリを起点としてオーストリアのヴイエナ(ウィーン)にも足を延ばした。じつはヴイエナ放送のテレビ番組から出演依頼があり、パリのホテルから電話で話し合ったが、生番組であるためスケジュールが合わず取りやめざるを得なかった。あとでドイツのデュッセルドルフで歌うときに、ウィーンにも立ち寄ってみた。ヴイエナテレビの規模があまりにも小さいのには驚かされた。スタジオも一部屋だけで、あのころH本ほアメリカに次いで最もテレビ技術や設備が進
んでいたのだということが、ヨーロッパ旅行をして初めてわかった。
六月中旬、約三か月のレコード吹き込みを臼的とした牡界二間旅行は終わった。


劇場・小屋めぐりとテレビ出演-5

幸福を売る男

芦野 宏

Ⅱ 夢のような歌ひとすじ

4、世界一周と海外録音

劇場・小屋めぐりとテレビ出演-5

 パリ滞在もあと一週間くらいになったとき、私はとつぜんエジプトのカイロで歌うことになり、エールフランスでカイエに向かった。フランス人はみなカイロのことをカイエといい、それが耳には妙に響いた。今回は土田大使ご夫妻からの招待で、ナイルに浮かぶ船上パーティーで歌った。イヴェット・ジローもこの船上で歌ったと聞いたが、エキゾティックな夜景を楽しみながら、土田大使ご夫妻が日本からたまたまカイロを訪れた柔道選手の一団と、シャンソン
歌手の私を中心に開いてくださったパーティーであった。
翌日は三菱重工に勤める長兄が当時カイロに滞在していて、私をラクダに乗せてピラミッドに案内してくれた。砂漠の中にある古風なテントでできたレストランでは、珍しい料理を食べさせてくれた。そのとき飲んだスープは、モロヘイヤという草をすり鉢ですったものだと聞いたが、日本のとろろ汁によく似ていた。昔は王侯貴族以外は、このモロヘイヤという植物を口にすることができなかったほど貴重な精力飲料だったと聞いたが、とくに美味しいものでもな
かった。今では高栄養価野菜として日本でも売られているから、珍しくはないが。
エジプトの土産は、クレオパトラの時代から有名な香水だということで、七種類の香りの詰まった小瓶を買ってパリに持ち帰り、箪笥の上に並べて置いた。二日ほどしてから、どうにもその香りがたまらなくなり、惜しいけど捨ててしまった。


劇場・小屋めぐりとテレビ出演-4

幸福を売る男

芦野 宏

Ⅱ 夢のような歌ひとすじ

4、世界一周と海外録音

あれから三十数年たち、日本の真ん中、渋川市に私が建てた「日本シャンソン館」の展示室に、彼女の舞台衣装が運ばれてきた。私は目を瞠(みは)った。あのときの衣装だったような気がするからだ。開館に先立ち、パリの友人であるルル・ガステと、リーメ・ルノーに有名歌手の舞台衣装を飾りたい旨、お晦いしておいたのだが、オープンを直前に、この衣装とイヴ・モンタンの衣装が届いた。ボワイエはあのとき、紺色のロングドレスを着ていたのだから、あるいは同じものかもしれない。ポワイエも、ルルも今はこの世にいないと思うと感無量である。
夢のように暗が流れ、帰国の日もだんだん近づいてきた五月の下旬ごろ、パテ・マルコニ社が新しいスタジオ完成のレセプションをするとき、私を招待してくれた。私はトゥル土工氏に案内されて早めに会場に入り、たくさんの芸能人に紹介してもらった。ジジ・ジャンメール(シャンソン歌手、ダンサー)、ローラン・プティ (ダンサー、振付師、ジジの夫君)、アニー・コルディ (シャンソン・コミックの歌手)など、当時、パテ・マルコニ社はフランス最大の規模を
もつレコード会社だったから、ほとんどのシャンソン歌手が顔を見せるのは当然だが、私は写真でしか知らなかった人たちを目の前にして、あのときなぜカメラを持参していかなかったの190か今でも後悔している。
パテ・マルコニ社からあとで送られた写真のなかに、少し遅れて到着したジルベール・ペコーと私の抱き合っている写真があるが、四月の 『グラン・ガラ』以来、約一か月ぶりの再会をしたときのスナップである。私がパテ・マルコニーで吹き込んだカラオケを使って、テレビの『ディスコラマ』という番組に出演したのが四月の下旬だったから、客のなかには番組を見ていたらしく、珍しそうに私に話しかけてくる人もいた。

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日本シャンソン館の新着情報

8月のライブスケジュール
※変更になる場合がございます。ご了承ください。

日 時
開演時間 出 演
8月10日(土) 11時~/14時~ 岩崎桃子      ピアノ:日野敦子
8月11日(日) 11時~/14時~ 原れい子      ピアノ:安藤伸彦
8月12日(月) 14時~ のど自慢 vol.23
8月17日(土) 11時~/14時~ MIKAKO      ピアノ:大美賀彰代
8月18日(日) 【中庭】
11:00~11:45
【ヴェルメイユ】
13:30~15:00 2019年 群馬県 第15回 “生きる” 小児がん征圧「天使の泉」チャリティーコンサート in 日本シャンソン館 Vol.54
8月24日(土) 11時~/14時~ 山添恵子      ピアノ:大美賀彰代
8月25日(日) 11時~/14時~ 小林美恵子    ピアノ:江口純子
8月31日(土) 14時~ 2019年プリスリーズ新人賞受賞歌手5名による シャンソンコンサート

2019年8月31日(土)
2019年プリスリーズ新人賞
受賞歌手5名によるシャンソンコンサート
出演:八田朋子、小峰里緒、SAKURA.、セニョリ~タとも夜、依田知絵美
小林ちから(ピアノ)
時間: 開場13:30 開演14:00
料金:一般4,000円/友の会会員価格3,500円/29歳以下の方3,000円
会場:日本シャンソン館2F シャンソニエ「ヴェルメイユ」
主催:日本シャンソン館
後援:一般社団法人 日本シャンソン協会

チケットは日本シャンソン館でお求め頂けます

2019年8月12日(月)
日本シャンソン館
のど自慢 vol.23
参加者募集中
(裏面) ご案内:日本シャンソン館館長 羽鳥功二
ピアノ:大美賀彰代
司会:飯塚裕美
時間:14:00開演
参加費:一般4,000円/友の会会員価格3,000円
会場:日本シャンソン館2F シャンソニエ「ヴェルメイユ」
主催:日本シャンソン館
★どなたでもご参加いただけます。
★歌唱曲はシャンソンに限らせていただきます。
★楽譜をご持参ください(お一人一曲)。
★当日の午前中に譜面合わせを行います。
★最後まで思う存分歌って頂けます。
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観覧料:入館料(1,000円)のみでお聴きいただけます♪

<お問い合せ・お申込み>
日本シャンソン館事務局
TEL:0279-24-8686 FAX:0279-24-1919
営業時間 9:30~17:00(水曜日休館)
*クレジットカードのご利用はできません。

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