5、パリ・コンサートをめぐつて-3

 幸福を売る男

        芦野 宏

 Ⅲ 新たな旅立ち

5、パリ・コンサートをめぐつて-3

 日仏親善パリ・コンサート-2

 ところで、翌昭和五十八年、再び八月の夏休みを利用して第二回の親善コンサートが実現した。今度はイヴェノト・ジローと私のジョイント・コンサートであり、由緒あるホテル・ムーリスの嘗会場で楽しく華やかなディナーコンサートになった。この日のプログラムは、私が古いパリ?ンヤンソンを歌うと、ジローは古い日本の歌を、という組み合わせで「浜辺の歌」や、服部良一作曲「胸の振子」などを上手な日本語とフランス語をまじえて歌った。二十数年も前に私にプレゼントしてくださった「パリは花束」というシャンソンは、私の日本語の歌に続いてジローがフランス語で歌い、日仏親善のコンサートにふさわしい雰囲気で盛り上がった。

「オー・シャンゼリゼ」
  詞 安井かずみ
  曲 M・ディガン、M・ウィルシュ

 街を歩く 心かるく
 だれかに会える この道で
 かわいい君に 声をかけて
 こんにちは ぼくと行きましょう
  オー・シャンゼリゼ オー・シャンゼリゼ
   いつも何か すてきなことが
  あなたを待つよ シャンゼリゼ

 何度目かの来日のときにジローから譜面をいただき、歌ってみてすっかり気に入っていたものだ。「アシノさんにぴったりの歌です」と言ってくださった手書きのメロディー譜は今でも大切に楽譜戸棚にしまってある。日本のディナーショーでも十二月以外は必ずといってもいいほど歌っている。この歌はいつもさわやかな気分をかもし出してくれる。この親善コンサートの最後にこの歌を二人で歌うのは、ジローの提案であった。歌う前に彼女はこの歌を紹介した。