「日本シャンソン館概要」-3

 幸福を売る男
     芦野 宏

 Ⅲ 新たな旅立ち

5、パリ・コンサートをめぐつて
 
 エピローグ 「日本シャンソン館」 に託す夢

「日本シャンソン館概要」-3

 後輩の仲マサコさん、堀内環さんとも相談して、この難局を乗り越えるべく、曲目も平和を願ったシャンソンをそろえることにした。この機会に新人紹介の意味も含めてシャンソン・コンクール入賞の男性二人(畠山文男、熊田良治)にも出ていただくことにした。反戦反核をテーマにした第一部では堀内さん、伸さん、イヴェット・ジローと親しい田中朗さん (弾き語り)、真木みのるさん、それに私とで歌い、第二部は私がシャルル・トレネの名曲などを祈るような気持ちで歌った。結果は大成功であった。新聞が「核も戦争もない、平和を願うコンサート」として取り上げ、舞台の上から客席に訴えた私のメッセージを大きく扱ってくれた。
イヴェット・ジローは次の年の十二月に約束を果たしてくださった。「日本シャンソン館」では、待ちかまえていたファンによってコンサート会場は熱気にあふれ、最後に彼女が歌った「さよなら」という曲では全員がハンカチで目を拭いていた。1私は八十歳になりました。今年のコンサートを最後にして日本の皆様の温かいお心は大切にフランスに持ち帰ります」。という言葉を残して……。
 それから一年たって、枯葉の季節には高英男さんが、クリスマスには深緑夏代さんが、また有名人としては俳優の渡辺文雄さん、東野英心さん、写真家の立木義浩さんも見えた。しだいに「日本シャンソン館」も活気を呈してきた。代議士の原田昇左右さんは、とつぜん予告もなく見舞ってくださったし、ふくろう博士の古川のぼるさんは、近所まで来たからといってたびたび立ち寄ってくださる。放送タレントの大沢悠里さんに出演していただいたときには八〇〇人の入場者を数え、館長の私としてはいささか舞い上がってしまった。
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 日本シャンソン館・ライブスケジュール
しばらく中止させていただきます。
再開が決定しましたらご案内いたします。
日本シャンソン館 館長・羽鳥功二

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