住宅ストレス-3

「長寿の秘訣の第一は、ストレスを溜めないことです」
ストレス解消、病気知らずで楽しく長寿!
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花見正樹のストレス・エッセイ

住宅ストレス-3
狭き家に家族多きは福来たり繁栄疑いなし

たったひとりの家探し!-2

 国家公務員上級クラスとなると出世戦争は激烈、仕事を家に持ち帰るなどは日常茶飯事、休日をとってまで郊外めぐりのAさんの立場での評価ダウンは当然ながら地滑り状態であるのも無理はない。
知識の詰めこみ点取り虫式成功術で今日の地位を得ているAさんにとっては不動産業界のクリエイティブで煽情的で誇大認知型フレーズを理解するには性格改善から必要となる。
『収入付住宅』などとキャッチフレーズにあれば、真剣に、「購入額とそちらからの支払い額の差は?」 などと聞く。
「技芸や学習熱など各種教室向きのフロアーが用意されていまして、自由にタイプが選べるようになっています」
「収入はどこに付いているんですか?」
「それはお客様の腕次第です」
「………」
それでも妙に納得しているときもある。
『風格ただよう街並に、一際映える気品のフォルム』などと建売住宅のチラシを見れば、どこでもよく見える。
「なるほど、たしかに鈴ケ森でさえ歴史の濠む風情も風格もあるし、大井町も時代屋やなどで風情もある。かつてはお化け煙突で知られた北千住も、キューポラの街川口もみな風格ただよう街となる」
と、腕組みしてぷつぷつ呟いているそうだ。
Aさんが迷うのも無理はない。
つぎなるは住宅の売り出し広告の一部。
「いろんな街にいろんなコスモ・…‥」
「青空の下、デリシャスに……」
「若い二人にも手が届く……」
「お熱いうちに召し上がれ……」
「大きいことははんとに良いことです」
「はやる心をおさえてやってきた」
「あこがれてこの街に」
「この街にお迎えできるのはあと×家族になりました」
この広告で、(あと数家族で住民登録が打ち切られるんじゃ急がないと)と、真剣に考える人が出るのも無理はない。