武士道の源泉をさぐる

武士道の源泉をさぐる

花見 正樹

武士道には、仏教と神道の陰が大きく影響しています。
新渡戸稲造は、仏教が武士道に与えたもについて、次のように語っています。
仏教は武士道に、運命に対する安らかな信頼の感覚、穏やかな服従、危険や災難に際しての禁欲的な平静心、生への侮蔑と死への親近感などを列挙します。
新渡戸稲造は、柳生宗矩が、弟子の一人に自分の技を全て教えたあと、こう伝えます。
「私の指南はこれまで。あとは禅の教えに譲らねばならぬ」
禅とは、沈思黙考によって言語表現を超えた思考領域で、禅を究めることは仏の道を探求することでもある。その方法は黙想にあり、のめざすところは世の中の全てに横たわっている原理で、これは絶対である」
その上で「絶対」と、自分自身を調和させることが出来れば、禅の教えるところは死生観を超えたものpになり、この「絶対」を認識した時点から世俗的な事柄から自己を脱落させ、いざという時の心構えができるもの、とします。
以上から、武士道に仏教が与え阿多ものは大きいのですが、仏教が武士道に与えられなかったものは、神道が十分に与えています。例えば、仏教では教え足りない主君に対する忠誠心や、父母への孝心、先祖への崇敬などは神道の教義によって教えらます。
以上から、武士道には仏教と神道の影響が大きく投影されているのは間違いありません。