二十四の瞳
新海 富美代
もう60年近く前の思い出の本「二十四の瞳」作者壺井栄さんご存知の方も多いと思います。その当時本があまり好きでない私が唯一夢中で読んでそしてこの年になっても大好きな本です。
最初に付いた職業の幼稚園教諭の原点でもあった気がします。静かな瀬戸内海の島小豆島を舞台に新米先生と幼児12人で繰り広げられる物語です。温かくほのぼのとしたした物語で心が温かくなり癒されるのです。その様な思いがずっと続いていて今もって大好きな本になっています。
二十四の瞳を読んだ時から一度小豆島に行ってみたいとの思いを持っていましたが、なかなか叶えられず月日が過ぎていました。小豆島に行くにはどの旅行会社も日程を小豆島一日取らないといけないので企画されることが少ないらしく、なかなか良いのが見当たらないまま今に至ってしまいました。
今回有難いことに地元の旅行会社での企画を見つけて念願の小豆島に行く事が出来ました。ゴールデンウイーク前の4月後半姫路港からカーフェリーに乗り小豆島に向かって福田港へ。1時間15分の船旅でしたがお天気が下り坂の為もうすぐ小豆島という時に風が強くなりフェリーもかなり揺れました。交通網が船しかないという物語の中にもあった当時の状況が今になっても感じられるような気分を味わいました。お天気が悪いと足止めをされてしまうのかと。その日はそのまま宿泊予定のホテルに向かいました。
翌朝になり夜降っていた雨も上がり曇ってはいましたが幸い観光するには支障のない天気となり一番お目当ての二十四の瞳の映画村に向かいました。もう念願の二十四の瞳の舞台が見られるという嬉しさで胸は高まりガイドさんの本の一文を読み上げてくれた時には鳥肌が立つ位の気持ちの高鳴りを自分自身でも驚く位感じました。
映画村に向かう途中、本当の岬の分教場もバスの中から見ることが出来ました。映画村について映画で使われた分教場の中に入って教室で私達が幼い頃通っていた小学校を思い出させるような懐かしい教卓に黒板 黒板消し、昔ながらの時間割、ひらがな表にカタカナ、何もかもがタイムスリップしたかのように自分の小学生の時を思い出させた時間でした。
物語に出て来る12人の幼子の名前も出席簿の中にあり一人一人の名前を見つけて物語の内容を思い浮かべその後分教場の庭から海を見ながらここで大石先生と子供らが共に勉強して遊んだのだと思いに慕っていました。帰りに壺井栄記念館がありましたから、そこで自分の宝物としてずっと持ち続けたいと思い二十四の瞳の単行本を購入しました。合わせて孫達にも押しつけではないですがばあばの大好きな本だし、とても素敵な本ですから読んで欲しくて小学校高学年から中学生用の二十四の瞳の本を購入4人の孫にて順に読んで欲しいとの願いを込めて小豆島のお土産にしました。
二十四の瞳の映画村を後に小豆島の中をバスにて走りながらガイドさんから昔7万人いた人口も今は2万人と聞いて、これにより勿論小学校も中学校も高校も少なくなりこれといった産業もなくて高校を出ると島を離れて行く人が増えて人口が減って来ているとの事。日本各地でも同じ様な事が起きている。残念な事だと思います。
小豆島に来ることが出来て思う事は「素敵な島」のんびりしていて穏やか!車窓からおばあちゃんが頭に日本手ぬぐいをかぶり農作業をされている姿を見てのどかでほのぼのとした光景に心が癒されました。こういった風景や環境を残せたらいいな、日々時間に追われての慌ただしい昨今こんな風景に身を置き疲れっきた身体や心を癒される場所なんだな小豆島は、いつまでもこの様な小豆島であって欲しい願っています。
帰りは土圧港からやはりカーフェリーにて岡山港に。念願の小豆島に行って来られ大好きな二十四の瞳の舞台を見学出来て感無量です。そして小豆島は素敵で私は大好きです。帰宅後も買って来た本を時間作って読み返しています。先日も昔の友人に会って友人の話に圧倒されて心がちょっと疲れてしまった時に静かになれる場所でコーヒー頂きながら二十四の瞳の本を読んであのほのぼのとした内容に癒されて自分を取り戻してから帰宅。この本を私の心の癒しに・・・
了