第二章、武士道の淵源

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新渡戸稲造著、桜井桜村訳、幅雅臣装丁、えむ出版発刊、本体5千円。
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 武士道を考えるー6

開運村村長・花見 正樹

 第二章、武士道の淵源

 どうして日本人の民度が高いのか、日本人の道徳観念というものはいったい全体どこから来ているのか? こえが第二章の要旨です。
新渡戸博士が友人の外国人に問われて即答できず、後でよくよく考えた結果、導き出された解答は、武士の家で行われていた行儀作法からみれば、治安の良さ民度の高さなど全てが、ごく当たり前の日常的なもので、ごく自然に習慣的なもの故に、改まって質問されたりすると解答に詰まってしまいます。これが後天的なものか他から強制されたものであれば、原因も考えられるし誰もが即答できたかも知れません。
新渡戸稲造博士は、そんな日本人の道徳の規範の源泉を真剣に考え、その答えを武士道に見出したのです。武士道という言葉も遠い昔から言葉としては広く知られてはいましたが、これを体系化したものはありません。これを新渡戸稲造博士が体系化して考えたのです。
新渡戸稲造博士は、英文で「武士道」を上辞し、それが日本に逆輸入されて日本人が改めて「武士道」の存在に気付きました。それは、新渡戸博士が「武士道」を上梓してから30年以上も過ぎてからのことでした。
この「武士道」が、日本人の道徳心の根源で、治安維持や人の和につながるのであれば、これを普及させるのも意味あることになります。 仏教、神道、禅・・・これらの教えも武士道の根源に流れています。穏やかな境地、信頼による人間関係、避けれれない運命の享受、困難な状況への冷静沈着な対応、死生観の悟り、これらを知識ではなく体感として身に着けることで死を恐れぬ強い心が生まれます。
武士道の源泉に、孔子の教えも欠かせません。孔子の教えには重要な守らねばならない五つの道があります。
1、君臣の道。2、父子の道。3、夫婦の道。4、兄弟の道、5、朋友。
孔子は、この五つの道を守る人間の徳を「道徳」としたのです。
こう考えると、孔子の教えにある目上の人に対する服従、信頼、尊敬、敬愛、尽力などが、武士道の淵源と通じることが理解できます。