『新選租銘々伝』郷里での啓之助-11

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新選組友の会主宰・大出俊幸
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今回は2018年6月1日発行の160号からの掲載です。

信州松代市 道中記
『新選租銘々伝』郷里での啓之助-11

稲葉春義 満里子

真田宝物館蔵
近山輿士郎氏旧資料について

松代真田宝物館かえりぎわに、担当の北村氏からいただいた、松代藩文化施設管理事務所だより 第9号「六連銭(むつれんせん)平成十三年三月三十一日発行)。これはA4、2枚つづりの佐久間象山関係資料であった。帰宅後、改めてこの資料が特筆すべき象山関係資料であることを知った。とくに「近山輿士郎氏旧蔵資料仮目録」は、番号1~95に分けられ、われわれがおねがいした資料をふくめ当館に、昭和五十七年調査目録として収蔵されていた。佐久間家伝来のこの資料群は、佐久間象山の嗣子、略(格二郎=三浦啓之助)の未亡人、静枝からゆずられたもので、明治二十二-二十三年どろに、松本市の窪田畔夫氏(旧松代藩士子孫?)から近山興輿士郎氏が入手された。のちに、長野市教育委員会が、近山輿士郎氏から購入したとある。当時の東大史料編さん所の山本武夫氏が、烙二郎の本妻の静枝によると所見をしめされていること、また、明治年間著書 日下寛『犀北館記』にすでに確認されている、との説明がある。また、この資料が注目すべきは、蘭書の稀こう本(めずらしい本)であると同時に、象山が所持していたことが重要。また、象山暗殺時の「斬奸状」があるが、その真偽は、今後の検討が必要とのことと、真田宝物館資料に説明がある。
この近山輿士郎氏仮目録から、特に(3)「マリン編、蘭仏新辞典」が八代真田革質より買い与えられた。また、(7)の「ワーテルロー戦記一八十五年、ヘーグ刊」などをはじめ、ほかの蔵書も、象山がすでに当時読破していたとはおどろきである。