長く診てもらつてきただけでは主治医とは言えない-2

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{富家孝著・SB新書「死に方」格差社会より}

第7章 信頼できる探し方、選び方

長く診てもらつてきただけでは主治医とは言えない-2

こうした点は改善されると思うが、単に診察、治療をしてくれるだけでなく日頃の健康にも留意してくれたり、なにかあれば迅速にほかの専門医を紹介してくれたりしなければ、本当の主治医とは言い難い。
つまり、近所のかかりつけ医にしても主治医にしても、問題となるのは医者の質である。
この例のように専門医にもヤプ医者はいる。
とくに日本の場合、専門医と言っても、その認定証は専門学会に申請すればほぼ誰でももらえるので、本来の専門医とは言い難いからだ。
このように、かかりつけ医・主治医制度が成り立つためには、医者の質と技術が高くなければならない。結局、かかりつけ医・主治医の選び方次第で「死に方」も決まつてしまうかもしれないのだ。若いうちはいいが、歳をとるにつれて体の不調は多くなる。そうした時に、これまでと同じようにいsy通いを続けるだけでは、いざというときになにが起こるかはわからない。
だから、私は、日頃から医者にかかる機会があったら、その医者をよく観察、チェックすべきだと言い続けてきた。そうして、これまで「間違いだらけの医者選び」というテーマの本を何冊か書き、そうした内容の講演も続けてきた。高齢化社会になり、この間題はますます切実になっている。
私の講演後、出席された方々のお話を聞くと、医者への不満が充満している。たとえば、「診察がおざなりでですぐ終わる」「とりあえず様子を見ましょうとしか言ってくれない」「いつもクスリの量が同じ2週間分」「治療の方針をはつきり教えてくれない」など、きりがない。
とくに高齢の患者さんが欲しているのは、「なにかあったときに緊急対応してもらえるか」「頼めば時間外でも診療をしてもらえるか」「往診をしてもらえるか」「電話やメールなどで診療してもらえるか」などだ。
はっきり言うが、こうしたことに対応できる医者は少ない。現在の日本の医療システムでは、ただでさえ忙しい医者がそこまで対応できることは不可能に近いからだ。
しかし、そうは言っても、これからはかかりつけ医、主治医を持たなければ、いい老後生活は送れない。健康に自信があり、これまで大きな病気一つしないで老後を迎えられた人は別として、病気がちの人はとくにそうだ。