「早期ガンには払えませんと保険会社」-1

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「富家孝著・SB新書「死に方」格差社会より}

第8章 「死に方格差」を乗り切るには?

「早期ガンには払えません」と保険会社

 先進医療にかぎらず、ガン保険に入るときは注意が必要だ。というのも、最近、ガン保険をめぐるトラブルが増えていると聞くからだ。
たとえば、定年後10年して大腸ガンが見つかった70歳のAさんは、「早期ガンなので心配いりません。内視鏡手術ですぐ取れます」と医者に言われ、手術を受けた。そして、保険会社に保険金請求をしたところ、断わられてしまった。
Aさんは、現役時代に「ガンと診断されたら一時金として200万円、入院1日につき1万円がもらえる」という保険に加入して、以後、月に約8000円を長年払い続けてきた。                                    しかし、保険会社はこう言ったのだという。
「お客さまのガンは、診断書を見たところごく早期のガンで、ご加入のガン保険では対象外となっています」
Aさんがこの保険に加入したのは25年以上も前で、契約書を見ると細かい字でたしかにそのような規定になつていたという。
また、こういう例もある。人間ドックを受けて前立腺ガンが見つかった70歳男性は、主治医に相談して、放射線治療を受けることにした。それで、保険会社に保険金を請求すると、「入院・手術しないと出ません。診断給付金も出ない保険です」と言われたという。
このように、ガン保険といえども、ちゃんと理解したうえで入らないと、後の祭りとなる。保険金の支払い条件きは約款に細かく記載されているが、これを全部読んで入る人はほとんどいないだろう。2014年、国民生活センターに寄せられた医療保険に関するトラブルは、1035件にも上っている。