終末治療の「事前指示書」を書いておく-1

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「富家孝著・SB新書「死に方」格差社会より}

第8章 「死に方格差」を乗り切るには?

終末治療の「事前指示書」を書いておく-1

終末治療をどうするか事前に決めて、それを文書にしていくという方法がある。これを「事前指示書」と呼んでいる。
事前指示書は、もともとはアメリカで始まったものだが、日本では2007年に厚労省から『終末期のガイドライン』が出された後に普及するようになった。このガイドラインのポイントは二つある。
一つ目は、患者さんの延命治療、尊厳死などに関する意思表示を明確にするための「リビングウィル」 (生前指示) が重要であるとしたこと。つまり、終末期をどう過ごしたいのか?どういう医療を受け、どういう緩和ケアを受け、そして最期はどうありたいのか?を文書にするということである。
二つ目は、患者さんが終末期に意識を失うなどした場合に、その患者さんの代わりに医療チームと協議を行う「代理人」を指定しておくとしたことだ。
これを受けて、2008年4月から後期高齢者にかぎり、患者と家族と医師らが終末期の治療方針を話し合い、書面にした場合に診療報酬が支払われることになった。
その結果、いまでは終末期医療の希望を聞く医療施設が増え、事前指示書の書き方のガイドまでつくられるようになっている。