桜咲きて-3 結喜 しはや

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その中には、一過性で忘れ去られるには惜しい記事や随筆もあります。
それらの力作を多くの人に読んで頂きたく、随時掲載して参ります。
新選組友の会主宰・大出俊幸
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今回は、平成十七年九月発行115号から抜粋しての掲載です。

桜咲きて-3
(第二回 勇忌レポート)

結喜 しはや
(京都在住・作家、歴史研究家)

午後二時を過ぎて、講演会が始まる。この日の講師は宮川豊治氏。ご子孫が語る近藤勇とは……、と、法会の時とは異なり、今度は楽しみな待ち遠しい時を思う。
案内にあった演題は、「流山の近藤勇と土方歳三」であったが、紹介されたタイトルは、「流山における近藤勇と土方歳三の別れ」。が、宮川氏ご自身も、タイトルからの話のみでなくとのことで、たくさんを語って頂くこととなった。
例えば、昨年のNHK大河ドラマ「新選組!」に関するエピソードでは、宮川氏は、NHKプロデューサーの方に、番組制作の前、何か要望があればと尋ねられ、「近藤、土方、沖田のほかにも多くの隊士がいる新選組なので、そうした人々の多くのエピソードを描いてほしい」と話をされたそうだ。
この結果は宮川氏も語られていたが、作品の後半は、隊士のインサイドストーリーを巧みに配して新選組史を綴り、視聴者を魅きつけることにつながっていった。
また、近藤と土方の出会いについて、彼らの結び付きの深さから推し量ると、その出会いは、日野の佐藤道場という揚がもたらす物理的な、単純なものではなく、「何か」があっての出会いが、肝胆相照らす仲となつたのでは、とのお話しで、大変面白く、その「何か」を知りたく思う気持ちで、心中がチリチリと熱くなつた。
ほかにも、宮川氏は、近藤勇は京都で新選組を結成後、心を許して話せたのは、井上源三郎ではなかったかと思うと語られるなど、多くの興味深いお話をされたので、とても柔らかな、心楽しい時間を過ごすことができたのである。
講演会の後には、先に記した佐藤福子氏、宮川清蔵氏、平拙三氏のほか、この日、参加されていた宮川家のご親戚の方々や、箱館新選組の四部隊に所属した隊士で、旧桑名藩士関川代次郎のご子孫の郡(こおり)義武氏という新選組ゆかりのご子孫の方々の紹介があった。