第57話 龍馬が差した長刀-1

 

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第57話 龍馬が差した長刀-1

坂本龍馬は長刀を好まず、短い刀を好んだと言われているが、初めは長い刀を差している。
しかも、長い刀の半分、はばきもとから半分というので、刀の真中までの刃の部分を引いたと記録されている。
ものを斬るために鋭く研ぎ上げている刃の部分を握る方から半分まで刃をつぶしているのである。
刃を引くといって、鋭い刃の部分を砥石で磨いて平らにしてしまうのである。刃が二ミリ三ミリぐらいの平らな形状に削られているのである。
何故、そのような形状にしていたのだろうか。
それは長い刀であるので、右手に刀の柄(つか)を握り、左手で刀の刃を握って、敵を突くという使い方をするためである。
龍馬は若い頃は長く、反りのない直刀を使っていたのである。
反りの強い刀は突きには使えない。反りのない刀の方が突くという動作には有効なのである。
長い刀を突きに使い場合、左手で刀身を握った方が、刀の先がぶれないので敵を必ず倒せるのである。
こうした若い頃の龍馬の差料を知ってみると、短い刀を差して歩くという合理的なものの考え方が、まだ龍馬の中に育まれていないと分かる。
龍馬が高知で修行していた小栗流は柳生新陰流から派生した流派である。
柳生新陰流の中に多くの技があるが、左手で、刀身を持つ技がある。
左手の親指と他四本の指の間に刀身を挟むという形になる。指は下に向かって真っ直ぐに下ろし、握らない形である。
龍馬も小栗流を習っている中で、そのような刀の持ち方を覚えたのかもしれない。