第64話 龍馬の体勢と天井の破れ

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幕末史研究会
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6、暗殺

第64話 龍馬の体勢と天井の破れ

龍馬の差料吉行の鞘の疵(きず)と天井が破れているという事実を組み合わせると、吉行の鞘はコジリ(鞘の先端部分)が上を向いている状態だったと思われる。
龍馬と中岡は座って話をしていたので、頭部は低い位置にある。
刺客は立って八畳間に突入しているので、高い位置から龍馬と中岡の頭部へ攻撃を加えることができた。
一の太刀(第一攻撃)で龍馬の額に斬りかかる。これは浅い疵であったろう。
二の太刀(第二攻撃)龍馬は背面の床の間に置いてある刀掛に吉行を掛けていた。その吉行を左手で取りにいく。右手は柄を握ることになる。
刺客は背を向けて吉行を取りにいく龍馬の背中に攻撃を加える。右肩から左の脇腹へ袈裟がけに斬り下げた。
三の太刀(第三攻撃)龍馬の頭部めがけて斬り下げる刺客の刀を龍馬は吉行の鞘の中央部分で受けとめる。刺客の刀は一瞬止まるが、龍馬は左手で下緒の辺を握り、右手で柄を握って中腰から立ち上がる。吉行の鞘は上に向かって移動していく天井を突き破る。
刺客の刀は下へ向かって斬り下げる。
龍馬の頭部(眉間)に大きな傷をつけて刺客は龍馬に致命傷と与えることになる。
鞘の疵から推定すると刺客は左へ滑るように斬り振るい龍馬の眉間を右から左へ斬り裂いていたのかもしれない。
刺客の刀は鋭利で吉行の鞘を六寸(18センチ)、吉行の刃を三寸(9センチ)削っていたと谷干城は証言している。
日本刀は鋭利で日本刀の刃も削ってしまうのである。甲割りとか鉄砲斬りという日本刀が存在した。誇張でなく鉄を斬り裂くのである。
龍馬は刺客の刀で眉間を斬られて暗殺された。犯人は■〈暗殺〉当日の昼間でみたように佐々木唯三郎たちと思われる。しかし、佐々木たちは誰からの情報で実行したのだろうか。大名、公家の中で龍馬が画策する徳川政権の温存に反対する者も多くいた。
こうした中から佐々木唯三郎たちへ龍馬の居場所をリークする者がいたかもしれない。佐々木たちは情報を得れば素速く行動するはずである。