第59話 近江屋の二階

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幕末史研究会
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6、暗殺

第59話 近江屋の二階

近江屋の二階は四部屋あり、河原町通りに面した八畳間、次の六畳間、そしてもう一つの六畳間があり、その奥に暗殺現場となった八畳間がある。この四部屋が細長く並んだ、京都の町家の典型「うなぎの寝床」の形状である。
そして、暗殺現場となった八畳間の古写真が残っており、龍馬が背中を向けていたと考えられる床の間が写っている。
またこの部屋が裏庭に向かって低くなっていく傾斜した天井となっていることが分かる。
この八畳間には窓兼物干に出る出入口があり、隣家の屋根が確認できる。
この奥八畳間で慶応三年(一八六七)十一月十五日夜、坂本龍馬と中岡慎太郎は向き合って話をしていたと推定されている。
二人の間には冬の季節なので、暖をとる火鉢が置かれており、行燈もあったとされている。何か書類を見たり、筆を使って書くという時に必要だったと考えるのだろう。
龍馬の刀は床の間に置いてあり、中岡の刀は本人が遠くに置いていたと証言しているだけでどこに置いてあったかは分からない。
猫を描いてある風はどこに置いてあったか不明であり、置く位置によっては坂本、中岡、刺客二人の動き方、動作が変わってくる。
もう一つ重要なことは、天井板が破れていたことである。部屋のどこあたりの天井が破れていたか証言はない。
天井が低いということが、天井を破るということなるのだが、龍馬の体勢もその原因になっていると思われる。
龍馬暗殺現場を正確に再現するには、分からないことが多くある。確実なことと確実なことの間の空白は推定する方法をとっていく。
物証として存在するもの。

龍馬の差料吉行(京都国立博物館蔵)
龍馬の差料吉行の鞘(古写真のみ)
猫の風
掛軸
証言
中岡慎太郎が斬り込まれた後、生存していた間に話したこと。矛盾する点もあるが、死に臨んで偽証するとは思われないので、中岡から直接、襲撃の瞬間を聞いた、田中光顕、谷干城、林謙三の証言を確度の高い証言として使うことにする。
闘争の再現
剣道ではなく古流の剣術を真剣で行う訓練を実践しておられる方々に、再現していただいた。実技を行った方々の感じたことも参考とした。