第80話 札幌・坂本家を訪ねて

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2019年元旦 小美濃清明

幕末史研究会
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「坂本龍馬八十八話」

小美濃 清明

8、各地を訪ねて

第80話 札幌・坂本家を訪ねて

平成十二年、札幌の坂本家を宮地佐一郎先生、北海道龍馬会の萱場利通氏、寺井敏氏と共に訪ねたことがあった。
故坂本直行画伯の未亡人、鶴夫人が出迎えて下さり、一階で直行画伯の思い出話に花が咲いた。
′その後、二階の部屋にご案内いただき、坂本家に伝えられた数々の品を拝見させていただくことになった。
宮地先生は『坂本龍馬全集』を編集する過程でそれらを拝見していたが、久しぶりに目にする品々だった。宮地先生はそれらの品を手にとられてなつかしそうに見て
南州と署名された西郷隆盛の書があった。
その横に公文菊倦(くもんきくせん)が描いた坂本龍馬肖像の掛軸がある。
lしの有名な能馬肖像は公文菊億の描いた肖像画の中でも特に好評を博したものである。
このシリーズで、中岡慎太郎、武市瑞山、山内容堂、桂小五郎などがあった。それらは極めて保存がよく、今、描いたように美しかった。
次に坂本龍馬の手紙を拝見した。『坂本龍馬全集』で写真版で見ている紙がいくつも広げられた。
宮地先生はそれらを一通ずつ、丁寧に手にとり読んでおられた。実物を手にする時、有数十年の時を超えて、行間から龍馬の息遣いが伝わってくる。
手紙には龍馬の命が込められており、読む人の心に波動となって響いてくる。
宮地先生はいつも首を縦に小さく振りながら読む癖がある。
こうして直筆の手紙を手にしながら、『坂本龍馬全集』を編集されたのである。
部屋いっぱいに広げた品々は古い長持に収納された。やはり本物の持つ迫力である。一同満足して一階に降りた。
そして玄関から外へ出て写真を撮り、円山墓地へ供える草花を鶴夫人が摘んでいる姿を見ていた。
それから円山墓地へ向かう車中でも楽しい話でいっぱいだった。鶴夫人は孫の中に名前に馬の字をつけた男の子が増えたと笑って話されていた。
龍馬が目指した北海道開拓の夢がこうしてご子孫たちによって実現していることを龍馬は楽しそうに見ているに違いない。   坂本家九代目のご当主は坂本登(のぼる)氏で、直行画伯と鶴人のご長男である。現在は東京在住で親しくさせていただいている。
初めてお会いした時は印象的であり、よく記憶している。龍馬会での宴席の時、横で黙って盃を口に運んでおっれた。その方が坂本登氏と分かった時、龍馬を感じたのである。龍馬も物静かであったと伝えられている。