第11話 ニョイスニョイス

 

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第254回 幕末史研究会
日時2017年7月29日(土)午後2:00から4:00
会場 武蔵野商工会館 4階 吉祥寺駅中央口徒歩5分
講師 鷹見本雄氏 たかみもとお 鷹見家11代当主
テーマ 編集者国木田独歩の後継者鷹見久太郎が果たした役割は
会費 一般 1500円 大学生 500円 高校生以下無料
講義内容 蘭学者鷹見泉石の曾孫鷹見久太郎はジャーナリストとなり、女性と子供のため月刊グラフィック誌を発刊した。日本社会に与えた影響は・・・

申し込みは実施前日までに事務所まで
幕末史研究会
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第11話 ニョイスニョイス

ニョイスニョイス

『維新土佐勤王史』の冒頭に土佐勤王党血盟者姓名簿が載っており、百九十二人の名がある。一番目が武市半平太、二番目が大石弥太郎、三番目が島村衛吉、七番目が河野萬壽彌、九番目が坂本龍馬、十一番目が川原塚茂太郎である。
最後の所に吉田東洋を暗殺した大石団蔵、安岡嘉助、那須信吾と累を避けんが為に除いたと書かれている。
そして、その後に滅銘簿以外の勤王党同志人名録という名簿がある。
〈故に其の血盟書の名簿に列すると否とは固(もと)より敢て其の間に軽重する所なきなり〉
と書かれている。
その名簿を見て、龍馬に関係した人物をあげてみる。
清岡道之助  望月亀弥太
樋口真吉   沢村惣之丞
岡田以蔵   岡本謙三郎
中島作太郎  新宮馬之助
岡内俊太郎  小南五郎右衛門
近藤長次郎  本山只一郎
那須俊平   佐々木三四郎
掛橋和泉
と並んでいる。
この名簿に「如意助」と姓がない名が書かれている。そして欄外に(刀鍛冶氏詮★うじのり★)と説明がある。
如意助は小松如意介といい、安芸郡井ノ口村の刀鍛冶で刀工銘は(正宣★まさのぶ★)である。『維新土佐勤王史』の編集者が土佐の刀工・中島氏詮と間違えているのである。如意介は明治二十一年九月十三日に死去して墓は大阪市生玉町齢延寺にあったが、今は無縁佛となり廃されてない。
この如意介は坂本権平の刀を造った左行秀の弟子である。
中島氏詮は文政二年(一八一九)六月七日、土佐国安芸郡田野浦町に生まれた。阿波国海部の刀匠海部氏善が祖で慶安の頃、土佐国田野に移住して中島氏を称し、代々刀鍛冶を業としたその八代目が氏詮である。
氏詮は清岡道之助と交流し、野根山二十三士屯集の際は井ノ口村の刀匠小松如意助と共に田野新町の濱口文兵衛から船を求めて、清岡たちを脱藩させる準備をしていたと記録されている。
如意介は左行秀の作風を受け継いで、美しい無地肌風の鉄に濡れた刀文を焼いている。如意介の作品は少なくないが、筆者の蔵刀として一振如意介があるので中心を載せることとする。
如意介は人柄が良く可愛がられて、
「ニョイスニョイス」と呼ばれていたと記されている。
しかも水通町に住む左行秀の弟子である。坂本龍馬と面識もあったと思われる人物である。龍馬も「ニョイスニョイス」と呼びかけていたかもしれない。