第53話 龍馬と寺田屋お登勢-2

小美濃清明講師の略歴は上部の「プロフィール」をクリックしてください。

幕末史研究会
事務所:〒180-0006 武蔵野市中町2-21-16
FAX・O422-51-4727/電話・090-6115-8068(小美濃)
Eメール:spgh4349@adagio.ocn.ne.jp
プログアドレス:http://blogs.yahoo.co.jp/bakumatsushiken
幕末史研究会は、東京都武蔵野市を中心に1994年から活動を続けている歴史研究グループです。

「坂本龍馬八十八話」

小美濃 清明

第53話 龍馬と寺田屋お登勢-2

「法華経」という経典がある。二十八品(ほん)の中の第十六品、「如来寿量品(にょらいじゆりようほん)」に次の文言がある。
《衆生既信伏(しゆじようきしんぶく)質直意柔軟(しちじきいにゆうなん)一心欲見備(いっしんよっけんぷつ)不自惜身命(ふじしゃくしんみょう)》
(衆生、既(すで)に信伏し、質(すなお)にして意柔軟(こころなおやか)となり、一心に仏を見たてまつらんと欲して、自身命を惜しまざれば)読み下すとこうなる。
そして、もう一品に、
《諸有修功徳(しょうしゆくどく)柔和質直者(にゆうわしちじきしや)則皆見我身(そツかいけんがしん)在此而説法(ざいしにせツぼう)》これを読み下すと、(諸有(もろびと)の、功徳(くどく)を修(しゅう)し、柔和(にゅうわ)にして質(すなお)なる者は、則ち皆、わが身、ここに在りて法を説くと見るなり)である。
「質直意柔軟」「柔和質直者」と「法華経」の中に二度、(直)と(柔)の組み合わせが出てくる。
すなお   なよらか にゆうわ   すなお   ほ止こけ
質直(すなお)にして柔軟、柔和にして府見直な者は佛(ほとけ)を見ることができると書かれている。そして、やわらかい心を持って質直な者は悟りの境地へと尊びかれていくと書かれている。
龍馬は直陰から直柔と諱(いみな)を変えた背景には何か理由があると考えられる。
龍馬の心は柔らかく、質直(すなお)なのである。
筆者は寺田屋お登勢の墓を訪ねた時、お登勢が熱心な「法華経」の信者であることが分かった。
墓には「妙」「法」「連」「華」「経」の五文字が刻まれた五輪塔であった。直柔という諱に変えさせたのはお登勢だったのではないだろうか。