月別アーカイブ: 2016年12月

 夕べのさんぽ   高橋禮子

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  明けましておめでとうございます。

 夕べのさんぽ

         高橋 禮子

 たどりゆく里の小径のつきあたりさやぐ竹林うぐいす鳴かす

 伸びてくる飛行機雲がとどきそう夕日の赤に引かれいるよう

 みつめれば見事な返信たんぽぽのわた毛としばしにらめっこする

 思わざる藤のふじいろ優しくて触れんとするも手の届かざり

 野に咲けるマーガレットが風に揺れ花びら白くわれを誘う

 寄りてくる老化なんか防ごうとまずは始める夕べのさんぽ

 ゆうやけに雲といっしょに染められてまだ咲けそうな私だった


46年ぶり   高橋 禮子

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46年ぶり

         高橋 禮子

ぴったりと重なるときをわくわくと見つめる人ら心はひとつ

閉ざされた岩戸をなんとか開かんと祈る人らが身近に迫る

太陽と月のコラボが確実になされて時を進ませてゆく

輝いていたワトソンに一瞬のかげりがありて逃す優勝

日食の輝くリンクは誰のもの生あるものの夢かも知れぬ

地上より船より機より捉えるは四十六年ぶりなる日食


サプライズ   高橋 禮子

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 サプライズ

                        高橋 禮子

 めざすのは稽古場風の小劇場どんな演出そこにあるやら

 いまだ見ぬ場面にわくわく歩みつつよもやの転倒ゼブラゾーンに

 青信号わたるまなかの赤信号われに点るも気付かなくって

 両の手を荷物に占領されていて路面に頭をガンとぶつける

 納得のいかぬ転倒バランスをくずしただけとは思えぬしばし

 人形が倒れたような姿勢でも即立ち上がり「大丈夫です」

 薬局を見つけてくれる人のいてほのと温もる痛みやわらぐ

 ガードレールにバイクを寄せて「大丈夫?」頷くわれに笑顔が返る

 迫真の演技のようなサプライズ省みながらこぶに「冷えピタ」

 桜小路の芝居にやっと間に合ってゴジラとやよいの愛の語りを


春のセンバツ   高橋 禮子

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 春のセンバツ

                                    高橋 禮子

 画面からはみ出す雲あり影のありルネ・マグリットの描く「復讐」

 イーゼルが壁がふしぎな絵をつくる心の奥まで覗かれたよう

 うたたねと気がつくまでの快さかなり眠ってしまったような

 卓上に香る水仙ゆうらりと揺れて告げくる「疲れをためるな」

 ペンを置く区切りとせんか午前零時宇宙の夢を見たくなってる

 仏滅にであう四葉のクローバー仕事しごとの春のセンバツ

 私のうたごころ君よ起きたまえおまえの出番がまたやってきた


デニムの帽子   高橋 禮子

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デニムの帽子

高橋 禮子

ワイパーに弾かれてゆく春の雨ときおりピンクの花びら残す

雪でなく雨でよかった今宵こそ華のフィナーレ散りゆくさくら

三ミリの虫がおまけについてくるブロッコリーにも近頃慣れて

蕗の臺(うてな)の絵てがみ届く「ほろ苦く甘くまるごと春を食べてる」

レンジではなく茹でるとおいしいよ小さく切ってきな粉草餅

降り出した雨を合図に歩き出すデニムの帽子にジョギング十ぷん

雁沢の遺跡めぐるも四周でおしまいにする本降りとなり

大昔もちろん傘はなかったよだいだらぼうの声が聞こえた

あけがたの雪をかぶりて公園のさくら三本ゆるぎのあらず

雪の日の桜見んとてかけつけた四月のステージ私ひとり