冨成博先生を想う

  宗像 信子
(開運道芸術部門顧問、咸臨丸子孫の会幹事)

冨成博先生を想う

冨成博先生が令和3年6月27日に98歳で亡くなられました。
多分幕末史に興味がない方にはなじみのないお名前だと思います。
私の文章に時々出てくる幕末史研究会の顧問でいらっしゃった作家先生です。
長州下関のご出身であるため、特に長州の幕末についてのたくさんの著作があります。
幕末史研究会にご高齢であるにもかかわらず、ご出席していただきました。
いつも最前列のお席で姿勢をくずすことなく、講師の話を熱心にお聞きしてらしたお姿を懐かしく思い出します。
また懇親会でも静かにお酒を嗜みながら、若い会員と楽しそうにいろいろなことを話していらっしゃいました。
お住まいの町田市から吉祥寺までの行程は大変だったようです。
さすがにここ3年ばかりは参加されることができなくなられました。
ということで私たちが先生のお住まいにお邪魔したり、お嬢さまに車いすで連れてきていただいて、先生を「励ます会」を町田で開いたりしました。
先生のファンが若い方から私の世代まで20名ほど集まりました。
そしてその時がお目にかかった最後となりました。
その時もとても楽しそうに喜んでくださいました。
ここ一年療養入院をされていらしたのですが、このコロナ禍でお嬢様さえお見舞いに行かれないということでしたので、私たちもお見舞いに伺うことができませんでした。
寂しいお別れになってしまいましたが、私が歴史をますます好きになるきっかけを与えて下さいました先生に心から感謝いたしております。
冨成博先生のご冥福をお祈り申し上げます。<合掌>

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