月別アーカイブ: 2017年6月

新連歌ー11

三裏
1、いとまなき人の世しばし離れ来て 清
2、 書き送る文唐松の蔭      紅舟
3、湖に出でて動かぬ小舟あり    清
4、 水底に鐘沈めりといふ     紅舟
5、けはしさをつのらせ速き野分雲  清
6、 身も木枯るる行方悲しき    紅舟
7、いとせめて今宵の月は澄めよかし 清
8、 まれなる酒にたれ招くらん   紅舟
9、皆人の得がたき越の寒き梅    清
10、 布も雪野にさらす手織りぞ   紅舟
11、伝へ来し技を尊ぶ時にして    清
12、 設へこらす春の催し      紅舟
13、橋を行く老も若きも花語り    清
14、 待ちし政(まつり)のうららかな空 紅舟
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新連歌ー10

三表

1、畔道をたどれば皇雛の家       紅舟
2、 主の翁齢知られず         清
3、よそ目にはひとり打つ碁と見えながら 紅舟
4、 戦の前の灯のもと         清
5、更くるままめぐる盃重なりて     紅舟
6、 いつしかしらむ東の空       清
7、明星へ竃の煙たちのぼる       紅舟
8、 民ありてこそ国忘るるな      清
9、山川も草木も土も忘るるな      紅舟
10、 目高の学校ふるさとになし     清
11、なつかしや広場にボール蹴る子たち  紅舟
12、 変はることなき夕映えの峰     清
13、粉雪降るまにまに見ゆる月淡し    紅舟
14、 山湯よろしき白骨の郷       清


新連歌ー9

二裏

二裏

1、新しき道は麓を貫きて    清
2、 志立て急ぐ若者      紅舟

3、百年の後の世の中いかならん 清
4、 千年も同じ輪廻転生    紅舟

5、里守る杉楠木の蔭深く    清
6、 平野の席に集ふ連れ衆   紅舟

7、美濃筑紫大和言葉をきづなにて 清
8、 手漉きの紙に匂う墨色   紅舟

9、雲開き迎へし月のくまもなし 清
10、 瓶のすすきにたぐふ笛の音 紅舟

11、鳴きやみてまた鳴きそむ声は虫 清
12、 烏ほねぐらにねむりいるらん 紅舟

13、我もまた花の盛りを夢にみて  清
14、 かげろふの中行く手いづくか 紅舟

 

 


新連歌ー8


名残裏

1、鳴きそむる調べたのしや虫の声    清
2、 わが住む里を雲京といふ      紅舟
3、流れゆく川渡やさし窓の下      清
4、 岸に添ひゆく魚釣りの舟      紅舟
5、生ひしげる木蔭に集ふ子供たち    清
6、 ひと日うらうら書(ふみ)を読みつぐ 紅舟
7、夕ぐれのしじまに匂ふ花の色     紅舟
揚句、 なにごともなき雪柳かな      清