スーパームーンに寄せて             井上幸恵

スーパームーン(最大の満月)に寄せて
     井上幸恵
   (開運道スクール西日本本部事務局長)  

 平成25年6月23日(日)20時32分。月が地球に大接近し、
文字通り今年一番の大きい月が見える天体ショーがあった。
 その前日、私はとある大好きなアーティストのライブ会
場にいた。ステージにセットされた楽器の数々、ショーの
始まりに胸躍るドキドキ・ワクワク感。四半世紀近くの間、
ずっと変わらない・・・そんな思いを巡らせていると不意
にフラッシュバックが起きたのだ。突然、彼との想い出が
・・・。
 貴方と結婚したとき、このアーティストの凍結コンサー
トとやらに一緒に行ったよね。何年前だったかしら?
そう言えは、彼らが凍結していた期間が、私達の結婚期間
だった・・・所謂「飲む」「討つ」「買う」などという言
葉は皆無な真面目一辺倒な貴方だった。私はその真面目さ
に息が詰まり、貴方もまた、私の一方的な思いやりに戸惑
っていた。
私のわがままと、思い込みで結婚生活は終止符を打った。
 私でなかったら貴方は、きっと幸せな結婚生活を送れた
に違いない。
「早く誰か別の良い人を見つけてね」
 なんて無責任なんだ?!
 三年前、貴方は再婚もせず「この世を去った」と風の噂
に聞いた。最期まで、私と息子の事を気にかけてくれてい
たと聞いて、その不器用さに苛立った。そして何故か涙が
溢れて止まらなかった。
 自分の思いや気持ちを優先して貫いた私は本当に正しか
ったのか。今、幸せで後悔なんてしていないけど、本当に
それで良かったのか。答えはこの世を去るときに手渡され
るのかな。
 そんな思いが今の私の胸を打ちます。でも、私は今日も
元気に生きています。
「変わらないものを探してくるよ」と、尖って凍結したこ
のアーティストも解凍後、紆余曲折の末、結婚し父親にな
った。そして今日も生きて音楽の世界にいて活躍している。
 変わらないことなど何一つなく、変わらずにいる為には
一緒に変わり続けるしかない。そして、今日も変わらず生
きている。
 ショーが始まる。良いこともそうでないことも含めて、
毎日がショーの繰り返しでしかない。
 満月の日には「できるようになったこと」や「叶ったこ
と」に目を向け、感謝をする。
「ありがとう」
 変わらず、音楽を愛する環境にいられる私。この世に居
ない貴方を含め、たくさんの愛の中で生かされている私。
すっと言えなかった「ありがとう」を二つのショーに送り
たい。「感謝」という名の花束にして。