雄蕊のごとく  高橋 禮子

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雄蕊(おしべ)のごとく

                                 高橋 禮子

 己が葉をカサコソカサリ降らせつつ足もと固める洞ある大樹

 いま届くダンボール箱の中のある「リオの海鳴り」ざわわと響け

 初句しかりなべて始めはやわらかに選ぶフレーズ私ごのみ

 展示車の大きな目玉とにらめっこするもよからん点検すむまで

 いつよりかマーチに私が似てきます丸く丸くまあるくなって

 いくえにもガラスが私を囲むゆえ気どるほかなし雄蕊のごとく

 三冠馬なる馬の名は流石さすがのディープインパクト

 一睡もできざる夜を嘆くなかれわれの朝ぶろひと日の始まり

 六十字の稿成すだけの今日なれば煩わしきは忘れてしまえ