春近し 高橋 禮子

春近し

高橋 禮子

透き通る二月の空よ画布となれ描きてゆかんわれのこれから

水瓶座生まれでよかったわが肩に言葉湿らすみずがめひとつ

冷えのこるやよい二日の桜山ぐるり巡るも人まばらなり

咲くまえの桜大樹に耳を寄せしかと聞いてる水のたよりを

負けるのはことさらいやという人の洩らす言の葉カサリかさかさ

水茎とうことばころりと転がりて〈水を言葉も欲しがっている〉

春まろむポストの赤に差し出さん夕べ潤う手書きのたより

ひそやかにみずを香らす水だより君にひとこともう春ですね