バク以外にも夢を食む動物がいた!

  バク以外にも夢を食む動物がいました
        花咲 寿奏(仮名)

 恋愛話は胸三寸に収めて、と思っていましたが、若からし日の思い出などを。
 当時24歳の私は、医療事務の資格を取得して志し半ば、都会に残るか故郷に帰って就職しようか、と、人生の岐路に立たされた気分で悶々と過ごしていました。
 そんな矢先に、マンションの共用宅配ボックスが故障したことがきっかけで、同じマンションの2フロアー上に住む男性と仲良くなりました。年齢は私より一歳下で、当然ながら全く同じ間取りの部屋に住んでいる関係で、話もたちまち盛り上がり、更新時期も重なっていたことから、あっという間に同棲する流れになってしまいました。
 この頃は、こんなことでもドラマの様な出会いのような気がして、東京で再び夢を叶えるよう「一緒に頑張ろう!」とか励まされて、私もつい、「運命の人に巡り会えた」、などと錯覚し、迷いが吹っ切れた気分になってしまったのです。
 ところが、いざ実際に生活を共にしてみると、あっという間に綻びが出てしまいました。
 いざ蓋を開けてみれば、その彼は、身の丈に合わないのに無理をして借りた賃貸マンション、年金を今まで一度も払ったことがない、カードのリボ払いで借金まみれのその日暮らし、そんな状態であることが判明したのです。
 世間一般では、夢を持った男が素敵だなどと言いますが、あまりにも実が伴わない夢を食むバクのような男はダメです。
 今は車の免許がないけれど、将来は運転手を雇える位に稼いで偉くなる…という彼の夢は、もはや空想でしかありません。
 金の切れ目は縁の切れ目、と昔の人は言いましたが、急速に二人の関係は悪化していきました。
 私個人としては、彼のために貯金も使い果たし、金銭賃借承諾書なるものを公正証書として作成し、結果的に高くついた社会勉強代でしたが、現実的には全てリセットし、0からスタートを切る羽目に陥ったのです。
 お金を貯めながら、次の住処を探すのには大変な思いもしましたが、手を差しのべてくれる友人達がいたからこそ今の自分が在るのだと思います。
「夢」という漢字も、一歩間違えると「儚い」となってしまうことを身を持って学んだ24歳の青春でした。
 蛇足で一言・・・今は、夫という同居人と平和に暮らしていますが、この話はオフレコ、だから仮名です。

(注)ご本人の職業もオフレコ、時々テレビで拝見してます。