みどりのひれ

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みどりのひれ

                             高橋 禮子

 最終日にのぞめる安田靫(ゆき)彦展「飛鳥の春の額田王」

 靫彦の描く額田王のみどりのひれこそ上代のかぜ

 万葉の歌人が吹かす風そよわれがまともに受けとめている

 絵の世界ゆるり歩いているうちに詠いたくなるわたしの歌を

 もうちょっともうちょっととなる咲くことに命をかける湖畔の桜

 届きたる「二月のひまわり」もうすでに弥生の本の顔をしている

 私のタイムトラベル導くは君の走らすみどりのジャガー