甦る仁のこころ 合同慰霊祭・特別記念講演 余談~7

このコーナーは安司弘子講師(左)と宗像信子講師(右)の担当です。

白河戊辰150周年記念事業
~「甦る仁のこころ 合同慰霊祭・特別記念講演」余談~7

安司 弘子
(歴史研究会白河支部長)

司馬先生に関連する事項はまだ続きます。。。
2014年8月26日、BS朝日で『にほん風景物語 司馬遼太郎と会津・白河のみち〜「街道をゆく」を歩く〜』が放映されました。これに先駆けて、現地情報などで少しばかり協力させていただいたお陰で私は撮影時に居合わせることが出来ました。
このときの旅人は作家の山本一力さん。
忘れられない光景があります。
知らない方ばかりのところに駆けつけ場違いな感じがして戸惑っていたとき、野菜の詰まった大きなレジ袋を下げて一人の女性が現れました。
近くの産直で購入されたものでした。
福島県は、原発事故による風評被害のまっただ中で、福島の野菜を避ける風潮が地元住民にもあった頃です。
その女性の姿を見たとき、私は感情がこみ上げてきて思わず声をかけました。「白河で野菜を買って下さったのですか?有難うございます!」
そして、しばらくお野菜や料理の話など主婦同士のような会話をするうち、「もしかしたら山本に何かお話があったのでは?」と。

そう、一力先生の奥様だったのです。すっかりスタッフの一人だと思い込んでいた私は、もう本当にビックリしました。
さすがは作家の奥様、観察眼があるのですね。もっとも当時私は「戊辰戦争白河口の戦い」の啓蒙に携わる「桜プロジェクト」のスタッフでしたから、少しでも白河の特異な状況を知っていただけたらとパンフレットや資料を携えていたのでした。
撮影中の一力さんに代わって奥様がiPadに記録して下さったのは長州に伝わる「白河踊り」でした。
そして、数ヶ月後、奥様から思わぬご連絡が。
もっとお話を聞きたいのでまた白河に行きたいとのことでした。
ご夫婦で取材に来て下さったその日、ひとりで応対することに危惧を感じた私の傍には博識な白河の重鎮、人生の達人である金子誠三先生がいらっしゃいました。
お二人は金子先生のユーモアを含む会話に魅了され、すっかりファンになられて私の目論見は大成功。
そして、私たちもご夫妻の飾らず控えめなお人柄に心底感激しました。
さらに、ちかく萩市で講演予定があるとお聞きし、「白河踊り」の研究家中原正男さんと講演会の会場で面談していただけるおまけ付きとなりました。
その後白河図書館での講演会をへて、つい先日にも白河にお出でいただく機会があり、改めて素晴らしいお人柄を実感できました。嬉しいご縁がつづいています。

つづく