見合い婚の長所と欠点


「女と男」、見合い婚の長所と欠点は? 
 私は長年にわたって銀座で結婚相談所も経営していましたが、そこに集まる男女の生態はさまざまです。
 10万人を超えるリストから選ぶのですから誰でも迷います。一般的には、まず顔写真、学歴、職歴、家族構成や年収(男性のみ表示)、身長・体重などを見て、お見合い相手を申し込みます。この場合、多少の妥協はやむを得ない、と結婚願望が強く、最初からハードルを下げ気味の二人ですと、3ケ月もすれば婚約まで進み、トントン拍子で結婚が決まります。とくに、もっとも結婚願望が強いのは29歳の女性です。何が何でも30歳までに結婚を、と焦り、29歳いっぱいで結婚できるなら顔がイマイチでも我慢します。そうなると、身長、収入、学歴などとなし崩しに妥協してしまい、結婚さえできれば何でもいい、となってしまいます。こうなると結婚が人生のスタートではなく、結婚式がゴールとなりますから結婚したとたんに、あとはもうどうでもよくなってしまい、結婚後が心配です。
 その逆もあります。じっくり構えて理想の相手が見つかるまでは焦らずあわてずというタイプです。結婚相談所の規約には、結婚までの見合い回数に制限はありません。1年以内の結婚が理想、と会員の皆様に伝えます。これは、長引くと見合いにも飽きがくるからです。
 私の記憶では32回目のお見合いで理想に近い相手を得たという女性がいます。大手広告会社で係長を勤めていて、30歳を少し出てから入会した女性でしたが、相談所でも何でも知り合った切っ掛けはどうであれ、何度かのデートで恋愛感情が動いてからの結婚なら恋愛結婚だというのです。これもごもっともなことです。
 惚れたはれたで熱烈な恋愛の結果、あとさき考えずに同棲して懐妊、やむなく結婚・・・とたんに生活苦と性格の不一致で愛情が冷めての口論でどっちもどっち、責任のなすりあい。子供が出来たのは誰のせい? こんなケースも少なくありません。
 もちろん、古今東西、愛の力に勝るものなし、熱烈な恋愛が出来るほど仲がいい二人が不幸になるはずはありません。ただし、その愛が永遠に続くなら、という条件がつきます。
 昔から、日本には男と女を仲介するお見合い制度があって、お節介な仲人さんが、釣書という餌をもってあちこちを徘徊したものです。 釣書には、結婚相談所で用意する内容の一部と同じような項目が書き込まれています。
 これで、だいたいの人柄や社会的立場が推測できますが、これがお見合いのメリットです。
 結婚相談所なら、次の項目が分かります。
 1本名、2生年月日、3血液型、4身長、5体重、6現住所、7電話、8本籍(都道府県)、9続柄(長男とか)、10学歴(最終学歴)、11職歴(会社、役職名)、12年収(男性のみ)、13婚歴(初、再婚)、14趣味(スポーツ等も)、15好きな食べ物、16家族構成、17同居(結婚後の)、18財産(本人の)、19希望条件(こちらから)、20その他(性格、考え方など)
  どうです? 恋愛ではなかなか聞きづらいこともありますね。さて、ここまで揃えばあとは顔写真で・・・おっと、これが問題なのです。自分の一番気に入った写真や、写真館撮影の修整写真などが貼ってある場合もありますから、会ってみないと自分の好みかどうかは分かりません。ましてや相思相愛になれるかどうか?
 結局、恋愛でも見合いでも問題はあり、それを超えてこそ開運の道がひらけるのです。
 ところで、NHKの大河ドラマの「龍馬伝」ですが、主人公の龍馬は平井加尾と千葉佐那の両手に花、羨ましい限りです。
 でも、龍馬の女好きはこんなものではありません。
 前回、前々回とで千葉佐那と婚約して結納の品を取り交わしたこと、高知の平井加尾とも結婚を約束をしたことを話しました。
 その他にも続々と当時は評判の美女が続々と登場しますが、今回は珍しく龍馬が振られたお話しです。
 坂本龍馬の愛した女に、高知城下の漢方医のお徳という娘がいます。
 平井加尾の清楚な美しさも評判でしたが、妖艶な美しさで男を魅惑したお徳の美貌と魅力的な姿態もまた土佐藩の若者たちの間で話題にならない日はなかったそうです。加尾と相思相愛だった龍馬は、二度目の江戸から戻ってからはお徳に夢中で、お徳に会うために漢方医に通い詰めて口説き落とし、ようやく気脈を通じての付き合いが始まりました。しかし、気位の高いお徳は、土佐の郷士の次男坊などまともには相手にしていませんでした。その美貌の評判を伝え聞いた藩主・山内容堂公の望みで、側女のお付け女中に招かれると、龍馬には別れの挨拶もなしでさっさとお城に上がってしまいます。その後、お徳は殿のお手つきとなり、そのお下がりが藩に大金を寄贈した大阪の豪商・鴻池善右衛門の手に渡り、お徳は城を出て豪商の妾になって一生を過ごすことになります。
 今回は、龍馬が振られた話です。私は、龍馬が振られた話はこれしか知りません。